90年代のバブル経済末期。今では考えられないような大型アミューズメント施設の建設ラッシュがあった。
しかしバブル崩壊後、わずか10年足らずでその多くが消えてしまった。
今回はその栄光と挫折の軌跡を追ってみよう。

ワイルドブルーヨコハマ


1992年、横浜市鶴見区にオープンした、大型温水プール施設。一年中常夏のビーチが楽しめることをアピールしていたが、目標の年間入場者数100万人をクリアできないまま、オープン9年後の2001年に閉鎖された。現在は、やはり「南国リゾート」をイメージした大規模マンションが建てられている。

ららぽーとスキードームザウス


1993年、千葉県船橋市にオープンした、“世界最大”の屋内スキー場。ゲレンデの高低差100m、幅100m、長さ500mという規模で、リフトも設置されていた。年間を通じてパウダースノーが楽しめる、世界でも類を見ない人工スキー場だった。

名称のザウス=SSAWSとは、「Spring Summer Autumn Winter in Snow」の頭文字であり、一年中スキーができることをアピール。このフレーズを乗せた山下達郎のCMソングも、ブームを後押しした。世界最大のスケール感をアピールするため、プロレスラーのジャイアント馬場起用したCMも印象的だった。
だが、一世を風靡したスキーブームの陰りとともに入場者数は減少、膨大な維持費を捻出できず、オープン9年後の2002年に閉鎖された。その後、跡地は大型家具店「IKEA」になったことも、時代の変遷を象徴しており興味深い。

鎌倉シネマワールド


1995年、松竹創立100周年記念事業として、松竹大船撮影所の敷地内にオープン。「日本映画ゾーン」「アメリカンシネマゾーン」「フューチャーゾーン」など、さまざまなジャンルの映画の実物大セットやライド型アトラクションなどが楽しめた。

だが、渥美清の死により看板作品『男はつらいよ』が終了、映画の興行不振とともに客足は当初から低迷し、オープンからわずか3年後の1998年に閉鎖に追い込まれた。現在、跡地は鎌倉女子大学の大船キャンパスとなっている。

富士ガリバー王国


あのオウム真理教の拠点「サティアン」で一躍有名になった、山梨県の旧上九一色村に1997年にオープン。おとぎの国のガリバーをテーマとして、45mのガリバーが横たわるガリバー島のほか、ワラビーやトナカイがいるふれあい牧場、ボブスレーコースなどもある総合アミューズメントパークとして、存在感を放っていた。
ところが「元オウム」の場所という風評や、アクセスの不便さなどもあり客足は伸び悩み、オープン4年後の2001年に閉鎖。その後は構造物が廃墟となってそのまま放置され、廃墟マニアの格好の見学スポットとなっている。


波のプール、人工スキー場、シネマパーク。個性豊かな娯楽施設群が、今は軒並みマンションやショッピングセンターというどこにでもある施設に様変わりしてしまった。バブルとは、巨額の負債と引き換えに、たしかに「夢」を見せてくれた時代だったのかもしれない。
(青木ポンチ)

※イメージ画像はamazonより廃墟シリーズ・幻想遊園地(レジャーランド・テーマパーク・遊技場編) (メディアボーイMOOK・廃墟シリーズ)