9月18日に発売された「ポケットモンスターブラック・ホワイト(以下、ポケモンBW)」が絶好調だ。

発売元であるポケモンは9月22日、「ポケモンBW」の初週販売本数がDS用ソフトとしては史上最速最多となる255万本(メディアクリエイト調べ)に達したことを公表。
これまでDS用ソフトの初動記録は「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の232万本が最多でしたが、「ポケモンBW」はその記録を大幅に塗り替えたことになります。今や「ポケモン」は、「ドラクエ」「FF」に代わる、新たな「国民的RPG」になったと言っても決して過言ではないでしょう。

さて、そんな「ポケモン」シリーズですが、筆者のようにリアルタイムでブームを経験していない世代からすると「どうしてこんなに人気なの!?」と思うことがままあります。「子供たちが「ポケモン」好きなのは知っているけど、何がそんなに面白いのかしら……」という親御さんも案外多いんじゃないでしょうか?

そこで今回は、今さら聞けない「ポケモン」の魅力について、「ポケモン」歴14年のゲーム系編集者・Yさんにあらためて尋ねてみました。Yさん、「ポケモン」ってなんでこんなに人気なんですか?


◆「ポケモン」ってなんでこんなに売れてるの?

「まず“誰でも遊べる”というのが大きいですね。以前開発者の方もおっしゃっていたのですが、子どもはもちろん、親も一緒になって楽しめるのが「ポケモン」の魅力です。加えて昔「ポケットモンスター 赤・緑(以下、赤・緑)」を遊んでいた人が、また戻ってきているというのも大きいでしょう」(Yさん)

なるほど、たしかに「購入層が幅広い」という点は大きいかもしれません。初代「赤・緑」を小学生のころにプレイしていた人も今では20代。かつては”子供向け”と言われた「ポケモン」ですが、「いわゆる”ポケモン世代”が20代まで引き上げられたことで、だんだんそう言われることも減ってきました」とYさんは語ります。実際、大会やイベントなどでは、20代のユーザーと40代の親ユーザーが「ポケモン」について語り合っている場面もしばしば見られるとか。

「あとはキャラクター性ですね。「ダイヤモンド・パール」の時点でポケモンは500種類近く発見されていましたが、Wikipediaには全種類のポケモンにそれぞれの項目が存在しています。
それほど1匹1匹の存在が大きく、人によって思い入れの強いポケモンも様々なんです」(Yさん)

たしかに、個性的かつ魅力的なキャラクターは「ポケモン」の大きな特徴。筆者のまわりには、「アニメでピカチュウのかわいさにハマり、それからゲームで遊ぶようになった」という人もいますし、アニメやグッズなど様々な方向から興味を持ってもらえる間口の広さは、他のゲームにない「ポケモン」ならではの強みかもしれません。

それではちょっと視点を変えて、ゲーム内容としてはどうなんでしょうか?


◆「ポケモン」ってどのあたりが面白いの?

「よく言われているのは、

 1.ポケモンを捕まえて図鑑に記録していく
 2.集めたポケモンを育てる
 3.育てたポケモンで対戦する
 4.別のポケモンで対戦したくなる
 5.1に戻る

といった、収集→育成→対戦→収集……の流れですね。これにみんなハマります。普通のRPGと違って、対戦があることで長く遊べるようになっているのが「ポケモン」の特徴。育成論や戦術論についてはここでは書き切れないほど奥が深いので割愛しますが、一度対戦にハマってしまったらきっと「ポケモン」の楽しさから抜け出せなくなると思いますよ!」(Yさん)

「楽しさから抜け出せなくなる」とはまたスゴい表現ですが、たしかに友達とのポケモン交換や対戦が楽しい、というのは筆者も納得。一人用のRPGだと、いくらキャラクターを育ててもクリアしてしまったらそれでおしまいですが、「ポケモン」は周りの友達に自慢したり、友達と対戦したりできる楽しみがあるんですよね。昔は「周りに遊んでいる友達がいないとつまらない」とも言われましたが、最近ではネットのおかげで離れた相手とも手軽に交換・対戦ができるようになり、筆者のような社会人にもぐっと遊びやすくなりました。

また「『ポケモン』を取り巻くコミュニティも魅力的です」とYさん。新作が出るたびに新要素や新ポケモンが追加されてきた「ポケモン」シリーズですが、実は骨組みとなる部分は初代からずっと変わっていません。このためどれか一作品でもプレイしていれば、その体験を共通言語としてみんなで共有することができる。「昔遊んでいた人と、今遊んでいる人が同じ話題で盛り上がれるのも「ポケモン」の楽しさ」とYさんは語ります。



◆まとめ:「ポケモン」は楽しい!

Yさんから聞いた内容をまとめると、大体次のような感じでしょうか。

・誰でも遊べる!
子供も大人も楽しめる間口の広さ! ポケモン世代が大人になったことで、親子で一緒に楽しめるゲームに。

・キャラクターが魅力的!
それぞれのお気に入りポケモンを探すのが楽しい! アニメやグッズからファンになる人も。

・収集、育成、対戦が楽しい!
友達と遊べるから、クリアしても終わりじゃない! 一度対戦にハマってしまうと「抜け出せなくなる」ほどの魅力がある!

・友達との会話が楽しい!
ゲームの骨組みはずっと変わらないから、世代が違っても共通の体験を軸にみんなで盛り上がれる!

うーん、こうしてまとめてみると、やっぱりよくできたゲームなんだとあらためて実感させられますね。ゲーム自体の面白さは言うまでもありませんが、友達との交換や対戦、親子で交わすポケモントークなど、ゲームの外側にある「コミュニケーション」の要素こそが「ポケモン」の本当の魅力なのかもしれません。

最後に、これから「ポケモンBW」を始める人に向けて、今回のオススメポケモンをYさんに聞いてみました。

「3匹の中では、ポカブを選ぶと楽に進められると思います。あとは途中で出会えるキバゴ! コイツはストーリーの終盤まで頼りになるので、ぜひ探してみてください」(Yさん)

なお現在、都内の多くの店舗で品切れ状態となっている「ポケモンBW」ですが、Yさんによれば任天堂から在庫が再出荷される土曜・日曜が狙い目とのこと。今まで「『ポケモン』なんて子供のゲームだし」と敬遠していた人、子供が遊んでいるのを怪訝そうに見ていただけのお母さん、これを機にぜひ奥深い「ポケモン」の世界に踏み出してみてはいかがでしょうか?(池谷勇人)
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