「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)12月25日(金)放送。第20話「走り出す!!情熱の薔薇」より
脚本:中島丈博 演出:藤木靖之
12月28日に生まれた人、亡くなった人「新・牡丹と薔薇」20話
『牡丹と薔薇』中島丈博/徳間文庫

歌ばかりが脳にこびりつく


運命的な再会をした富貴子(黛英里佳)と美輪子(逢沢りな)。

ふたりの難しい関係を知らずにグイグイ距離を縮めてくる美輪子に対して、知っている富貴子はわざとそっけなく当たります。
美輪子は多摩留との恋もそうでしたが、熱しやすく、まわりが見えなくなってしまうようです。富貴子が、いい感じになりかかっている、シェアオフィス仲間・篤(内野謙太)を優先して、こんな仕打ちと逆上するのなんて、お門違いもはなはだしい(ちょっと意識して古めかしい言葉遣いにしてみました)。

篤が巻き込まれてひどい目に遭わないと良いけれど、なんて思うくらい、いま、個人的に最も気になる篤。相関図にも出てないし、クレジットもかなりその他扱い。にもかかわらず、妙にいい役です。
富貴子とバーで飲んでいる時、唐突に「最近テレビを見ないから、世の中のニュースがわからない」と言うセリフが、昔の洋画みたいで。でも、失礼ながら、篤役のひとに、この台詞が全然合ってなくて、どういう気持ちで見ていいのか戸惑ってしまいました。この台詞は、「おやおや、誰かさんのストーリーに似て来たぞ〜」と笑ってた崑一役の岡田浩暉さんなら粋に言ってくれそうです。

さて、開始から4週間、いったいどこに向かっているのか、これほど予想のつかないドラマも珍しい。毎日全力で本能のまま前進し続けているようで、全然何も進んでいないことに愕然とします。
いや、実は、ものすごく考え抜かれていたりして・・・。
例えば、もしかして、ぼたんと富貴子と美輪子の誕生日である、本日12月28日になにか意味が込められているのかも? と思って、今日は何の日かネットで検索してみたものの、石原裕次郎と渡哲也って同じ誕生日なんだ〜と感心してみたり、元TBSのアナウンサー雨宮塔子と元・フジテレビの富永美樹は同年同月日生まれなんだ〜、とかそんなことくらいしか発見できませんでした。

どちらかというと、この日亡くなった方に、高峰秀子、田宮二郎、岸田森と名優が多いことが印象的。
と、まあ、すばらしいほどに何も得ることがないまま、ドラマは年明けから折り返しに入る中、「牡丹と薔薇」の歌だけが頭にこびりついて離れなくなっていて、この歌のためだけに作っているんじゃないかと思うと、あっぱれであります。
(木俣冬)