「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)12月28日(月)第21話「発覚!!私のお姉ちゃま」より、29日(火)第22話「許さない!!カマキリ男」放送。
脚本:中島丈博 演出:藤木靖之
虐めがシャレになってません「新・牡丹と薔薇」21、22話
イラスト/小西りえこ

ファンタジックな田園都市線


2016年、「新・牡丹と薔薇」の後半戦がはじまるにあたり、復習しておきたいのは、固有名詞(地名)。
眞澄(伊藤かずえ)が、富貴子(黛英里佳)を出産した産婦人科は【逗子】。

眞澄が崑一(岡田浩暉)と出会った運命のローズ・ガーデンは【等々力】。
崑一の家は【田園調布】。
そこが燃えて引っ越した先【九品仏】。
富貴子のネイルサロンは【自由が丘】。
基本的に、東急田園都市線沿線の物語なのでした。
具体的に地名が出てくると、この昔の少女漫画のような、理屈がいまいち通じないお話も多少、リアルに見えて・・・
来ないですね。
どうしましょう。むしろ、固有名詞が違和感にも思えます。
いえ、ただ、田園調布とか昭和的なお金持ちの住む場所はすでにファンタジーの舞台のようなので、ギリギリこの物語に合っている気がします。

虐めがシャレになってません


さて、21話では、ついに、富貴子が眞澄(伊藤かずえ)と対面。富貴子の話から、生まれてすぐ養子に出された子供であるとわかりながら、眞澄はなぜかためらいを感じます。美輪子(逢沢りな)はすぐに富貴子に運命を感じたというのに、肝心のお母さんはもっとずしりとした実感が欲しいと妙に冷静。
そりゃあ、崑一(岡田浩暉)と世奈子(田中美奈子)との子供に顔が似ているのですから、仕方ないですよね。

せっかくの母娘対面もいい方向には向きません。22話では、富貴子にひたすら夢中な美輪子は、自分だけを見てもらうために、篤(内野謙太)を排除しにかかります。そのやり口がひどい。
女子友達を巻き込んで、いやがらせ、篤を蔑み、自信を喪失させ、店をボロボロに。もともと、赤字経営だった篤は失意のどん底で失踪。

かつて、ドロドロ昼ドラでは、たわしコロッケ(「真珠夫人」)、財布ステーキ(「牡丹と薔薇」)など、数々のユニークな虐め方がネットを騒がせましたが、今回、そういったユーモアのある虐めはまだ出てきておりません。
このシーンはただただ意地悪。どうせなら、革製品を全部、揚げて、篤にごちそうしてほしかったですが、彼に対して愛憎半ばではなくただただ憎いから、可愛さの欠片なんて要らないのですね。
標的・篤は、外観がまったくそう見えないのに(そういう意味ではないのはわかりつつ)「カマキリ野郎」呼ばわりされるは、ニコニコ金融の取り立て屋役の昼ドラ常連・神保悟志にばかり注目されるは、とにかくとんだとばっちりで、さんざんの年末(ドラマ設定は年末じゃないけど)。お気の毒でなりませんでした。ただ、富貴子のお父さん、多摩留のように、死に至ってないだけましでしょうか。

関わる男達がどんどんいなくなっていくおそろしいドラマの中で、崑一だけ生き残ってます。残り1ヶ月、どうなりますか!
(木俣冬)