“世界で最も体重が重い女性”とされる体重約500キロのエジプト人が、インドで減量手術を受けることになったというニュースは、これまで日本の情報番組やネット上でも取り上げられてきた。

 しかし、この手術は失敗に終わり、彼女が重篤な状態に陥っていると家族が主張している。



 アブド・エル・アティさん(36)は、生まれた時の体重が約5キロで、寄生虫感染が原因で四肢など体の一部が肥大する象皮症だと診断された。幼少期から異常なスピードで体重が増え続け、11歳の時に体重が激増して立ち上がれなくなり、さらに脳梗塞を発症。以来、寝たきりで家を出られなくなったという。治療を希望するも、エジプト国内の医療機関は彼女の体重に耐えられるベッドや医療設備がないことを理由に、受け入れを拒否。

 そこで妹のシャイマーさんがFacebookで助けを求めたところ、インドの肥満外科、ムファザル・ラクダワラ医師が受け入れを表明。彼女はムンバイ市内の病院に入院することとなった。


 そして今年2月、20年以上ぶりとなったエル・アティさんの外出には、まず自宅の壁を取り壊し、ベッドに寝たままの状態でクレーンで運び出すという方法がとられた。そのまま貨物機に乗せられ、ムンバイに到着したのだった。

 そして3月初め、胃の一部を切除する減量手術を受けた。

 術後、病院側はベッドに座ってほほえむエル・アティさんの映像を公表し、手術の成功をアピール。ラクダワラ医師もメディアに対し「250キロの減量に成功した」「今なお急速に減量が進んでいる」などと話していた。

 ところが、英「Daily Mail Online」(4月25日付)によると、妹シャイマーさんはFacebookで「手術を受けて以来、姉は動くことも話すこともできなくなった」「担当医は減量の程度についてウソをついている」と告発。
さらに、「病院はメディアに取り上げられるためのショーやプロパガンダにばかり執心し、彼女のことをケアしていない」と病院側を糾弾している。

 一方、ラクダワラ医師は、シャイマーさんに真っ向反論する声明を出している。

 病院側と患者家族の信頼はもはや完全に崩壊してしまったようだが、とにかく、エル・アティさんが無事母国に帰れる日が来ることを祈りたい。