子供の病気の原因の一つでよく耳にする「溶連菌(溶血性レンサ球菌感染症)」は、時に生を脅かす感染症を引き起こすようだ。咽頭炎などの原因となる溶連菌が咽頭から入り込み、腹腔へ移動し合併症を起こしたために手足の切断を強いられてしまったアメリカに住む男性のニュースが『CNN』や『New York Daily News』など複数メディアで伝えられた。


ミシガン州グランドラピッズに住む2児の父親ケビン・ブリーンさん(44歳)は、昨年12月のクリスマスの日に腹痛を感じて具合が悪くなった。インフルエンザかと思ったケビンさんは数日後に病院で検査してもらったが結果は陰性であり、レンサ球菌の検査でも陰性だったという。

ところがケビンさんの腹痛は悪化する一方で、病院側は翌日再訪したケビンさんが急性膵炎のような症状を訴えたため入院させた。さらに翌朝には、腹部の潰瘍の破裂と思われるショック状態に陥ったため、医師は緊急手術を行った。

その結果、ケビンさんの腹部には1.5リットルほどの膿があることがわかったが、病院側は膿の原因を突き止めることができなかった。しかし手術後、ケビンさんの胸部に発疹ができ始めたことから検査をしたところ、ケビンさんが「溶連菌」に感染していることを突き止めた。


実はケビンさんの容体が悪くなる前に、息子の一人が溶連菌による咽頭炎を患っていた。息子から感染した細菌はケビンさんの喉から腹部へと移動したために容態が悪化し、ケビンさんは多臓器不全と敗血性ショックを起こしており感覚を失った手足は真っ黒になった。

対応にあたったスペクトラムヘルス・バターワース病院のエリザベス・ステーンスマ医師は「今まで私が治療した中で、彼は最も症状の酷かった患者の一人です」とコメントしている。また、こうした例は極めて珍しく、これまで32例しかないという。そのうち男性が罹患したケースはたった2例だそうだ。

ケビンさんには手指や足指を切断する4回の手術が予定され、これまでに3回の手術を終えているが、順調に回復しているとのことだ。


ケビンさんの妻・ジュリーさんは『WOOD』のインタビューに対し「人生に変化はつきものです。でもその変化が必ずしも悪いことだと思う必要はありません」と前向きなコメントをしている。手足切断という選択をせざるを得なかったケビンさんだが、子供たちの前でも明るく振る舞い、予期せぬ不幸ではあったが受け入れようとしているようだ。

現在、この家族のためにオンライン募金サイト「GoFundMe」ではアカウントが設置され、ケビンさんの医療費の支援を募っている。

出典:https://www.facebook.com/julie.s.breen
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)