今期の「春ドラマ」シーンで、異変が起きている。岡田将生高橋一生といった豪華主演陣を揃えた地上波ドラマを抑え、ウェブ検索数で圧倒的なNo.1に輝いたのは、Netflix配信の『九条の大罪』だった。
その勢いは、地上波トップの『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)にダブルスコア以上の差をつける、異例の独走状態となっている。

【関連写真】Netflixシリーズ『九条の大罪』の場面カット

Googleトレンドのウェブ検索数を見ると、春期「地上波ドラマ」で放送開始当初の4月に最もバズったのは『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系)だった。高校が舞台で、主演の北村匠海、出口夏希らフレッシュな出演陣が多い。

ただ、終盤にかけて高橋主演『リボーン』と岡田主演『田鎖ブラザーズ』(TBS系)が猛追。どちらも考察要素があり、執筆時点においてそれぞれ最終回および最終回直前の第9話が最高値を記録。過去90日間において春期「地上波ドラマ」のウェブ検索数1位と2位に躍り出た。

しかし、配信勢を含めたグラフで見ると、その構図は一変する。4月2日配信開始となった柳楽優弥主演『九条の大罪』(Netflix)の検索最高値を100とした場合、地上波1位の『リボーン』は41、2位の『田鎖ブラザーズ』は37、3位の『サバ缶、宇宙へ行く』は33に留まる。

なぜこれほどまでに『九条の大罪』が検索されたのか。要因は、徹底した「若年層ターゲット」のための掛け算にある。

もともと漫画『闇金ウシジマくん』と同じ真鍋昌平氏原作で、地上波より比較的縛りの無い配信ドラマとして「どれほどエグいのか?」と期待が寄せられていた。

そこに弁護士役の柳楽と松村北斗SixTONES)の「濃いバディ」の掛け合わせ、町田啓太ら人気俳優の出演で、俳優ファン、アイドルファン、映像作品ファンの複数層を取り込んだ。


また、違法薬物やAV業界といった闇に切れ込み、半グレや前科者などグレーな依頼人を引き受けるこの主人公が「正義なのか悪なのか」を議論させることに成功。原作からの改変そのものも注目された。

同作はNetflixの日本における「週間視聴ランキング」で4週連続1位、グローバル部門(非英語シリーズ)でも4位まで食い込んでいる。それがニュースになったことも含め、『九条の大罪』の爆発的な検索数に繋がったと考えられる。

対照的なのが、同じくNetflixで4月27日から配信され、『九条の大罪』と入れ替わるように国内5週連続視聴1位を記録した戸田恵梨香主演『地獄に堕ちるわよ』だ。昭和から平成にかけて六星占術ブームを巻き起こした占い師・細木数子氏の伝記的ドラマで、細身ながら貫禄ある戸田の演技も魅力だ。

ただ、視聴ランキングではトップを快走しながらも、検索数は『九条の大罪』のわずか14分の1(最高値7)に留まっている。同じNetflixの「週間視聴ランキング」を席巻した2作だが、検索数でここまで差がついたのはなぜか。

前述の通り、『九条の大罪』は「現代の」社会問題を真正面から扱い、人気俳優で若年層にリーチした。一方、『地獄に堕ちるわよ』は、細木氏がテレビで活躍した2000年代の時代背景を良く知る中高年層からの支持がメインだ。

視聴率では苦戦した『サバ缶、宇宙へ行く』が善戦を見せたように、ウェブ検索数は、若年層への訴求とリンクしている。細木数子氏の全盛期を知る中高年層が自身のペースで視聴しているのに対し、若年層は「検索しながら視聴」するという、デバイス利用の世代ギャップを象徴していると言えるだろう。


かつてドラマは地上波で見るものだったが、今回のデータは想像以上の早さで配信ドラマが台頭していることを示している。地上波トップの『リボーン』にダブルスコア以上の大差をつけた『九条の大罪』の独走は、制約に縛られない配信ドラマの「エグみ」を、視聴者が渇望している証左かもしれない。豪華主演陣を揃えた地上波勢が、この「配信の猛追」をどう迎え撃つのか。ドラマ界の勢力図は、今まさに劇的な転換期を迎えている。

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