日本は法治国家であり、罪を犯した者は法の裁きを受ける。一方で、現行の法律にはさまざまな解釈があり、「日本の法律では被害者は報われない」「加害者は被害者や遺族よりも守られている」といった声も聞かれる。
そうした中、前クールから今期にかけて、法の限界を超えて加害者への報復に踏み込む作品や、被害者に焦点を当てたドラマが相次いで放送されている。

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近年は、法律や判例が現代社会の実情や平均寿命の伸びにそぐわなくなっているとの指摘は少なくない。

凶悪犯罪については、遺族の感情に配慮し公訴時効が設けられていないが、2010年までは、人を死亡させた罪のうち、最高刑が死刑に当たる犯罪についても時効が存在していた。

前クールに放送された『田鎖ブラザーズ』(TBS系)は、まさにこの時効の問題を軸に据えた物語だ。殺人事件の公訴時効が廃止される2日前に時効が成立した事件を題材に、警察官となった兄弟の姿を描いている。

真(岡田将生)と稔(染谷将太)は、31年前に両親を殺害され、警察官の立場を利用しながら自らの手で犯人を追い続けた。最終的に2人は犯人である足利晴子(井川遥)に銃を向け、引き金を引く。

もちろん、こうした行為もまた法に抵触する。しかし、彼らが法を犯すに至った背景からは、日本の司法制度の限界が浮かび上がる。彼らの人生は犯人を追うことに費やされ、事件の真相を追い求める中で翻弄され続けた。もし時効が成立していなければ、2人は別の人生を歩んでいたのかもしれない。

現在放送中の『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』(フジテレビ系)も、法の外側から加害者を成敗する物語だ。
弁護士であり一級建築士でもある浦真鷲直人(GACKT)は、「嘘で塗りつぶされた真実を嘘で取り戻す」ことをモットーに事件解決へ挑む。

第1話では、女性を殺した犯人として配達員のパダム・ガルディ(ひろ)が疑われる。しかし、実際の犯人は衆議院議員の息子・田島祐希(矢野聖人)だった。祐希は自身の地位を利用し、立場の弱い外国人に罪をなすりつけようとしていた。

直人は祐希の嘘を暴くため、被害者女性のネイルチップを偽造したり、祐希を被害者の部屋を模した部屋に連れ込んだりと、弁護士の職務を逸脱した行動に出る。直人の「嘘」がなければ、ガルディは権力に屈し、濡れ衣を着せられたままだっただろう。

「日本は被害者のケアが手薄い」という声も聞かれるが、警察には犯罪被害者支援室があり、被害者へのカウンセリングなどを行っている。

現在放送中の『さよならノワール』(フジテレビ系)でこの部署の存在を知った筆者だが、実社会でも心理士・白石絵梨子(北香那)のような専門家が、黒木夏海(小池栄子)のような警察と協力して被害者に寄り添う取り組みが行われている。

第2話では、人気キャバクラ嬢・美雨こと佐藤茂子(今泉佑唯)が、信頼していた客から2800万円の不動産詐欺に遭う。悲しみはお金を失ったことだけでなかった。「どこ行っても、客に騙されて2800万巻き上げられたバカ女って見られる」という台詞に表れているように、周囲の視線に苦しみ、騙された自分を責め続けていた。実社会でも詐欺被害者が「騙される方が悪い」と批判にさらされるケースは多い。
被害者は事件の直接的な被害にとどまらず、さまざまな苦しみを味わっているのだ。

『リーガルビート–逆転の法廷–』(テレビ東京・BSテレ東)でも、被害者の心が丁寧に描かれている。第1話では、親の介護を抱えながら働く鈴原明子(相武紗季)がパワハラを受けて退職に追い込まれるまでの経緯が描かれた。そこでは、被害者が抱える苦しみだけでなく、パワハラを立証することの難しさも細やかに映し出されていた。

これまで、刑務所を舞台にした作品や加害者に焦点を当てた作品は数多く制作されてきた。泉ピン子主演の『女子刑務所東三号棟』(TBS系)や、天海祐希主演の『緊急取調室』(テレビ朝日系)は、長く支持されてきた人気シリーズだ。

一方、被害者に焦点を当てた作品は少なかったが、昨今は被害者本人や遺族の視点から描いた作品が次々と放送されている。その背景には、刑事・警察ドラマの多様化のみならず、被害者に対する社会の意識変化や、現行の法制度へのの違和感もあるのかもしれない。

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