■本人確認しないと「ポイント還元対象外」
最近のPayPayのリリースで、特にユーザーをざわつかせたのが、6月2日に実施された「PayPayステップ」の規約改定です。
PayPayで決済した時のポイント還元率は、PayPay残高の場合0.5%。それが「PayPayカード」や「PayPayカード ゴールド」「PayPayクレジット」で支払うことで1%になります。さらに月間30回以上(1回200円以上)かつ10万円以上の決済を達成することで、+0.5%となり、最大1.5%ポイント還元になります。
このPayPayステップのルールが改定され、本人確認を完了していない場合、ポイント還元が得られず、ポイント還元率アップの対象外になりました。
本人確認が完了しているかどうかは、PayPayアプリのホーム画面の「アカウント」から確認できます。アカウント名の下に「本人確認済み」という表記があれば、完了しています。
このルール改定の目的についてPayPayの広報に確認したところ、「犯罪行為や不正利用への対策、ならびにマネー・ローンダリング(資金洗浄)およびテロ資金供与対策の強化を目的として本人確認を推進しています」とのこと。
■狙われやすいPayPayで詐欺が横行
ユーザー数が多いPayPayは、何かと狙われやすい存在。最近ではPayPayの送金機能(送る・受け取る)を悪用した詐欺が横行しました。
6月18日以降は、請求リンク作成やマイコード表示をするには本人確認が必要になったためか、このような詐欺の話が一旦、落ち着いた印象です。
「本人確認を行うことで、銀行からのチャージや出金、決済や送金における上限額の引き上げ、韓国や台湾における海外での利用(決済・送金)なども可能になります。また、万が一、不正利用の被害にあった際に、迅速に全額補償が受け取れます。PayPayでは安心安全な金融プラットフォームを提供することを最優先に考えているので、今回を機に本人確認を実施いただきたく、PayPayステップの条件として必須としました」(PayPay広報)
■本人確認済みユーザーは4100万人に
5月31日で終了したものの、本人確認で100ポイントがもらえるキャンペーンも実施していたことから、本人確認への注力ぶりがうかがえます。2026年1月に約3900万人だった本人確認済みのユーザーは、3月時点で約4100万人となり、堅調に推移しているそうです。
6月2日には、「PayPayカード」や「PayPayカード ゴールド」のポイント還元率についても、一部変更になりました。公共料金や税金の支払いはこれまで1%還元だったところ、0.5%還元へと減少。他社決済サービスや交通系ICなどへのチャージは1%還元だったところ、ポイント還元の対象外になってしまいました。
加えて、PayPayポイントで支払った場合、これまではポイントが付いていましたが、6月2日以降はポイントが付かなくなりました。
■SNSで噴出した「改悪」批判への回答
このような変更にSNSでは「PayPay改悪」の声が続出。これらユーザーの反響についてPayPay側はどう受け止めているのかを聞くと、「変更に対するユーザーからの様々なご意見やご要望については、真摯に受け止めています。
一方で、今回のルール変更については、「本人確認するのは当たり前」という認識のユーザーも多く、特にヘビーユーザーから不満の声は上がらなかったそうです。
このほか、PayPayの支払いをPayPayカード ゴールドに設定すると、還元率が0.5%アップになる「PayPayカード ゴールド」の特典が終了し、「年間利用特典」へと変更になりました。年間100万円以上の利用で、PayPayポイントが1万1000ポイント貯まり、PayPayカード ゴールドの年会費が実質無料になるという特典です。
■他社クレカの紐付けが8月末で終了
0.5%のポイント還元率で1万1000ポイントを得るためには、年220万円の決済が必要になることから、100万~220万円の支払いがある人は、これまでよりもお得になります。一方で、100万円以上の利用をしない人や、220万円を超えて決済する人は、お得感はないでしょう。
今後の大きいニュースとしては、PayPayカード ゴールドとPayPayカード以外の他社クレカを直接紐付けてのPayPay決済が、8月末で終了となります。以降も他社クレカを利用したい人は、「他社カード利用券」を購入することで、PayPay加盟店での支払いに利用できます。
他社カード利用券のメニューは、7月1日以降、約1カ月程度をかけて、順次利用できるユーザーを拡大するようです。最新バージョンのPayPayアプリにアップデートしたらこのメニューが加わっているかどうか、「すべての機能」から確認してみてください。
■「他社カード利用券」は1万円単位で購入
他社カード利用券は、1万円から1万円単位で、最大月25万円まで購入可能。
他社カード利用券の金額だけでは足りない場合は、PayPay残高を併用して支払うことも可能。その場合は、支払い方法として「他社カード利用券」と「PayPay残高」を選択します。ただ、PayPayポイントとは併用できないので要注意。また、オンライン加盟店など、一部のPayPay加盟店では利用できません。
PayPayでは、他社クレカによる決済で、各国際ブランド等が定めている手数料が、PayPay加盟店から得られる決済システム利用料を上回ることから、その分をユーザー負担にする可能性があることを示唆していました。
「引き続き利用料無料で使っていただくために、国際ブランド(Visa、Mastercard)と協議の結果、他社カード利用券という方式を採用しました」(PayPay広報)。なお、他社カード利用券で支払えないサービス等は、図表1を参考にしてください。
■三井住友発行カードは変更なし
なお、PayPayと業務提携する三井住友カードが発行する個人向けクレカ(ANAカード、Amazon Mastercard等の提携カードを含む)については、引き続き、従来通りの決済方式が利用できます。
PayPay残高を三井住友銀行の口座に出金する際の手数料は本来100円必要ですが、月5回まで無料になり、秋にはSMBCグループの「Olive」アプリにPayPay機能が搭載されるなど、連携が進んでいます。
夏以降には、LINEとの連携が開始し、PayPayとLINEのポイントが統合されます。LINE上でPayPay送金が完結するなど、利便性が高まりそうです。
■バラマキから収益化のフェーズへ
また7月27日、東京都民に付与される「東京ポイント」からPayPayポイントへの交換がついに始まりました。東京ポイントは、都民の生活を応援するために1万1000円相当のポイントが付与され、au PAY残高やdポイント、メルカリポイントなどに交換が可能でしたが、PayPayポイントの参入が待たれていました。
そのほか7月31日には、セブン&アイ・ホールディングスとセブン‐イレブン・ジャパンとの戦略的パートナーシップに合意。今後、7iDをPayPay IDに統合することにより、便利でお得な買い物体験の提供が検討されています。
このようにここ2~3カ月でも実に様々な動きがあったPayPay。すでにバラマキのフェーズは終わり、収益化とコスト削減のフェーズに入っていることがうかがえます。これからは複雑化するルールを読み取って行動しなければ得できない。そんなシビアな現実が近づいていることを感じます。
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綿谷 禎子(わたたに・さちこ)
ライター
情報誌の編集部から編集プロダクションを経てフリーランスのライターに。現在は小学館発行のビジネス情報誌「DIME」を中心に、企業のオウンドメディアや情報サイトなどで幅広く執筆。生活情報サイト「All About」のガイドも務める。自称、キャッシュレスクイーン。
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(ライター 綿谷 禎子)

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