プロフィギュアスケーターの羽生結弦さん(31)が、7月19日にプロ転向から4年を迎えた。アスリートとして進化を続ける羽生さんのプロ4周年を記念し、スポーツ報知では特別インタビューを3回にわたり連載する。

第1回は「4年目の変化」。(取材・構成=高木恵)

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 羽生さんはずっと、全速力で駆けてきた。プロ転向後はもちろん、競技者時代もそうだった。2010年のシニア転向から12シーズンを、休みなく走り続けた。プロ4年目の昨年8月、メンテナンス期間を設ける決断を下した。自分の体と向き合いながら、ダンスや運動力学を学び、表現の幅を広げた数か月となった。

 「初めてメンテナンス期間というものを取り、体も新しくはなったかなと思っています。競技時代も、五輪が終わってからも、プロに転向してからも、ずっと突っ走ってきました。色々検査をしたり、自分の体を見てもらう中で、本当に綱渡り状態で今までやってきたんだなということを実感した年でもありました。なんとか保ちながらやっていたものを、いい状態に戻せてきたという感じで今はいます。そういった意味で、4年目の一年は、体の面での変化が一番大きかったかなと思います」

 出演と制作総指揮を手掛けた4月の単独公演「REALIVE」で、「今急激に自分が変わってきている時」と近況に触れた。

 「表現面とスケート、どちらの意味でもあるかもしれないです。

フィギュアスケートができない時期があって、その時期にダンスの練習をすごく頑張ったということもありますし。ダンスの勉強を色々と頑張っている中で、いろんな表現に触れてきたというのももちろんあります」

 作品作りにも変化が生まれた。

 「今までは『マスディス』(Mass Destruction)のようなダンスのプログラムと、フィギュアスケートのプログラムというものを、分割して考えていたようなところがありました。それが『ここのパートはこうじゃなきゃいけない』という感じではなく『全部が一緒になって一つの身体表現だよね』という風になってこられたことが表現面での変わってきたところだと思います。メンテナンスを経てまた一から作り直しているので、体の中身自体、筋力であったり、バランス感覚も含めて色々なものが変わってきています。すごく変わっている最中という感じはします」

 五輪で2度金メダルを手にしたアスリートの向上心は尽きない。プロ転向後、多ジャンルのダンスの習得に時間を割くなど、常に新しいトライを続けている。「こんなに自分はできないんだ」と気づかされることが多いというから驚きだ。

 「自分の演技を見ていて『下手くそだな』って、ずっと思っているんです」

 「今もなのか」と重ねてたずねると、即答だった。

 「もちろんです、もちろんです。『うわ、ここ下手だな』『あれも下手だな』と思うことばかりです。伸びしろしかないです」

 負けず嫌いだ。

自分のスケートを押し上げるために、無限の努力を続けることができる人。それこそアスリートとしての強みであり、羽生結弦が人を引きつける理由の一つでもある。現状に満足することなく、自分の可能性を信じ、新たな境地を切り開いてきた。

 「普通にありのままで生きていて、いろんな期待を背負って、それに応えたいなって。『それに応えられない方がきついな』と思いながら毎日過ごしているだけです。限界とか言ってられないみたいな感じには、ならざるを得ないような気はします。自分が『これ以上無理だな』と思うことは、きっと決めちゃえばすぐに出てくると思うんです」

 羽生さんは日常生活とフィギュアスケートを重ねながら、伝えてくれた。

 「例えば『今日はこれ以上仕事しなくていいかな』とか、『今日はこれ以上頑張らなくていいかも』と思った時に、やめちゃえばいつでもやめられることってあるじゃないですか。それと一緒で、フィギュアスケートって生きる上で必需品なわけではないですし、誰かに時間を決められてやっているわけではなく、やはり習い事の延長線上なので。だから限界を決めようと思えば、いくらでも決められると思うんです。でもそれを決めないで『限界じゃないぞ』ってやっていられるのも、努力の一つの形だと僕は思っています。自分はそういう風な人間でありたい。

いつでも自分の価値がちゃんとあるな、と思ってもらえるようなスケーターでありたいんです」

 きっとこれからも、羽生結弦は「羽生結弦」であり続けるのだろう。

 「そういう風にしか生きられないんだな、と思っているんです。誰かに強要されたから、そういう生き方になったわけじゃなくて、自分の性格上、そういう風にしか生きられない。中途半端な人間になりたくないから頑張っているというだけだと思います」(第2回は21日に掲載)

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