◆第46回新潟2歳S・G3(8月23日、新潟競馬場・芝1600メートル)

 越後への道は馬産地の新ひだか町から始まっていた。新潟2歳Sにトウシンマジック(牡2歳、父モズアスコット)を送り出す秋本大介調教師(44)=美浦=は、今年3月に開業し、ここまで4勝。

「馬を預けていただいた馬主さん(株式会社サトー)と生産者の方々のおかげ。自分の力というより感謝しかないです」。重賞初出走を前に、まずは好素材を任せてくれた関係者へ感謝の思いを口にした。

 馬にもいい影響があるとして、“スタッフが楽しく働きやすい環境”が理想の厩舎像。人も大切にする姿勢を競馬の神様が見ていたかのように、師匠・菊川調教師のつながりであいさつに行ったところで良縁に恵まれた。「千代田牧場の飯田正剛代表が、馬主さんを紹介してくれて入れてくれました。僕にもすごく優しくしてくださって、本当に良くしていただいています」と同牧場で生まれたモズアスコット産駒が入厩した経緯を笑顔で明かす指揮官。ちなみにJRA初勝利も、同代表の所有馬のランフォースマイルで挙げており、秋本厩舎にとって特別な存在になっている。

 日本だけでなく、オーストラリア、イギリスで多くの馬に携わってきた秋本師。「デビュー戦の2、3週前に乗ったときにすごくいい背中で、なかなかまたがったことがない感じでした」と早々とトウシンマジックの可能性を感じていた。

 7月の新潟・芝マイルのデビュー戦では、牝馬3冠を達成したリバティアイランドの半弟のダノンダックスに注目が集まるなか、出遅れてスローペースにかかわらずメンバー最速32秒8の末脚で差し切り勝ち。トレーナーは「僕は1800メートルの馬だと思っていたのですが、代表が『1800メートルは長いだろう』と」。

距離適性を見抜いていた飯田代表の助言が生きた白星発進となった。「うれしかったですね。2か月くらい在厩して一回調子が落ちるタイミングがあって、そこから体調がすごくアップした。それを経験できたのも良かったです」と厩舎初の新馬勝ちだけでなく、多くの経験をもたらしている。

 重賞の舞台に向け、さらなる良化を見込んで勝利を意識するからこそ重圧も感じている。「まだ完成されてないのが魅力で、一度使って良くなってくると思います。相手は強くなりますが、チャンスがある馬だと思っているので、いい意味で緊張しています」と表情を引き締める。当日は飯田代表も新潟に来場予定。恩返しの勝利を目指し、厩舎一丸で決戦の地へ送り出す。(浅子 祐貴)

 ◆秋本 大介(あきもと・だいすけ)1981年9月1日生まれ、神奈川県出身。44歳。JRA競馬学校の厩務員過程を卒業後は補充員として美浦・小島太厩舎など複数の厩舎で勤務。

その後は正規スタッフとして美浦・木村哲也厩舎、菊川正達厩舎の助手を経て、26年3月に美浦で開業。3月14日に中山8Rのオオゾラヒバリで初出走。5月23日の新潟1Rをランフォースマイルで初勝利。JRA通算4勝。

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