歌舞伎俳優の市川染五郎が2日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「秀山祭九月大歌舞伎」(26日千秋楽)の夜の部「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」に出演した。

 「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)」の4段目にあたる「一條大蔵譚 奥殿」。

平家栄華の時代、かつての源義朝の妻常盤御前(中村雀右衛門)は、阿呆として知られる一條大蔵卿(染五郎)に嫁ぐ。源氏方の吉岡鬼次郎(中村歌昇)と妻お京(中村種之助)は、館に潜り込み常盤御前の真意を知ることに。すると現れたのは家老の八剣勘解由(松本幸四郎)。平家への逆心を感づかれ、絶体絶命の一同。そこへ、一筋の刃が勘解由の首に迫る…。

 初代中村吉右衛門が最も好きな役の一つに挙げたゆかりの演目に玄孫の染五郎が初役で挑む。狂気と確固たる信念とが同居した大蔵卿を体現し、作り阿呆っぷりと、真意とが虚実入り乱れる終盤は見応え十分。高貴な身分ながら自分を偽って生きることや孤独を感じているところが「ハムレットに似た部分がある」と言われ、日生劇場で舞台「ハムレット」を経験した染五郎が大蔵卿を演じきり、客席から万雷の拍手が送られた。

編集部おすすめ