8月30日(日)の放送テーマは、「地域の記憶を未来へつなぐ NIPPON防災資産」。国土交通省 河川計画課の黛由季(まゆずみ・ゆき)さんから、新しい認定制度「NIPPON防災資産」について話を伺いました。
(左から)松井玲奈、黛由季さん、杉浦太陽
◆災害を「自分事化」するための新制度
毎年9月1日は「防災の日」です。1923年9月1日に発生した関東大震災を機に、一人ひとりが防災について考え、災害に備えることの大切さを広く知ってもらうために設けられました。
日本は地震や津波、土砂災害、洪水など、さまざまな自然災害が起こりやすい国で、近年は気候変動の影響で大雨による被害も増えており、一度災害が起こると被害が大きくなるケースも少なくありません。そこで、2024年5月に創設されたのが「NIPPON防災資産」です。
これは、今を生きる私たちの災害に対する備えや主体的な避難行動、地域のさらなる防災力向上につなげるための認定制度です。災害の記録を展示する施設をはじめ、災害の記憶を語り継ぐお祭りや地域で防災を学ぶ活動、教訓を伝える語り部など、地域に受け継がれてきたさまざまな取り組みを「資産」として認定しています。
黛さんは、この制度を通じて、地域の人々が災害リスクを“自分事化”することが狙いであるとし、「災害伝承に取り組む方々の工夫や努力が国内外に伝わり、波及効果を生み出すことや、社会全体の災害に対する意識が高まることを期待しています」と語ります。
では、なぜ「伝承」が防災につながるのでしょうか。黛さんは、「過去の災害を経験した方々の言葉や地域に伝わる教訓などには、単なる知識以上に『自分にも起こりうること』と実感させる力があります。伝承を通じて、災害を身近な問題として捉えてもらうことで、防災を自分事化して、行動につなげてもらえるのではないかと考えました。
◆「NIPPON防災資産」認定の施設・活動を紹介
「NIPPON防災資産」には“優良認定”と“認定”の2種類があり、現時点で合計32件の施設や活動が認定されています。評価にあたっては、災害の事実や教訓が正しく伝えられていることに加えて、「自分だったらどうするだろう」と考え、主体的な避難や防災行動につながる工夫があるかどうかを重視しています。さらに、普段の暮らしのなかで自然と防災を意識できるような工夫や仕掛けがあるかどうかも大きなポイントです。そこで、番組では「NIPPON防災資産」に認定されている施設や活動をピックアップして紹介しました。
その① 優良認定「えちごせきかわ 大したもん蛇まつり」(新潟県関川村)
村に古くから伝わる大蛇伝説と1967年に発生した羽越水害を後世に伝えるお祭りで、竹と藁で作られた大蛇がシンボルになっています。その長さは、羽越水害が発生した8月28日にちなみ82.8mもあります。
このお祭りが評価されたポイントについて、黛さんは「お祭りのシンボルとなる大蛇の長さを羽越水害の発生日にちなんで設定し、その大蛇を54の集落の村民が分担してつくるだけでなく、村の中学生全員が参加して、事前学習でお祭りの開催意義を学んでいることが高く評価されています」と解説します。
この取り組みが地域に根付き、2022年8月に発生した大雨では、早い段階で住民自ら避難を開始する行動につながりました。
その② 優良認定「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」(兵庫県神戸市)
この施設では、1995年に発生した阪神・淡路大震災の経験や教訓を伝えるとともに防災について学び、災害による被害を少しでも減らすための知識や技術を発信しています。
黛さんは、「阪神・淡路大震災の体験談を交えた展示や体験コーナーが充実しており、特に語り部ボランティアによる被災体験談やワークショップ、小中学生などを対象にした防災セミナーが多く実施されている点が優れています」と評価します。
その③ 優良認定「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」(宮城県気仙沼市)
2011年に発生した東日本大震災の記憶と教訓を“目に見える証”として伝える施設で、被災した気仙沼向洋高校旧校舎を「ありのままの姿」で現状保存、公開しています。現地の写真を見た松井は、「教室だったと思われる場所に、津波で流されてきたのであろう車が入り込んでいて、“子どもたちが勉強する教室”という日常が一瞬で失われてしまったことがわかります。地震や津波の恐ろしさがとてもリアルに伝わってきますし、写真からでも(震災の)衝撃がすごく感じられるので、実際にここに立ったら、言葉を失ってしまいそうです」と感じ入ります。
また、この施設では、震災の記憶を残すだけではなく、次の世代へ伝えていく取り組みもおこなわれています。黛さんは、「地域の語り部メンバーと協力しながら、地元の子どもたちを語り部ガイドとして育成し、若い世代への継承にも取り組んでいます。実際、地元の中高生がボランティアとして語り部活動をおこなっていて、タイミングが合えば、一緒に施設内を見学することもできます」と話します。
「NIPPON防災資産」では、このようにお祭りや資料館、震災遺構など、地域で災害の記憶を伝える取り組みを認定しています。共通しているのは、過去の出来事を知らせるだけでなく、それによって得た教訓を現在の防災や、次の世代へつなげていることです。
最後に黛さんは、「災害はニュースや映像だけだと、どうしても“遠いところの出来事”として感じてしまうことがあるかと思います。でも、実際にその場所を訪れて遺構を見たり、語り部の方のお話を聞いたりすると、『自分だったらどう行動するだろう?』と具体的に考えるきっかけになります。旅行などで『NIPPON防災資産』のある地域を訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。そこで得た気づきや学びは、いつか自分自身や大切な人の命を守ることにつながると思います」とコメントしました。
番組のエンディングでは、杉浦と松井が今回学んだ「NIPPON防災資産」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず松井は“自分だったらを考えるきっかけ「NIPPON防災資産」”とスケッチブックに書きました。続いて、杉浦は“「NIPPON防災資産」を訪れて防災の気づきや学びを得ましょう”と注目ポイントを挙げ、「『NIPPON防災資産』について詳しく知りたい方は、国土交通省のWebサイトをご覧ください」と呼びかけました。
(左から)松井玲奈、杉浦太陽
<番組概要>
番組名:杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、松井玲奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm
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