先週の日経平均は前週末比で上昇したものの、上ヒゲの長い「往って来い」の展開となりました。今週は米FOMCや日銀会合に加え、米大手IT企業の決算が相次ぐ注目の「天王山」を迎えます。

日米の金利上昇やAI投資への警戒感が重荷となる中、今後の日経平均は上昇・下落のどちらに振れるのか。今後の下値・上値のメドを探っていきます。


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「往って来い」の動きとなった先週の日経平均

 先週末24日(金)の日経平均株価は6万4,611円で取引を終えました。前週末終値(6万4,141円)からは470円高、週間ベースでは3週ぶりの上昇に転じています。


<図1>日経平均の5分足チャート(2026年7月21日~7月24日)
日経平均「6万円割れ」の可能性も…指数の「下値・上値」めどは?今週の株価見通し
出所:MARKETSPEEDII

 図1は、先週の値動きを5分足チャートで捉えたものです。


 連休明けで迎えた先週の日経平均は22日(水)までは戻り基調を描いていましたが、週末にかけては売りに押される動きとなりました。結果的に前週末比で上昇したものの、いわゆる「往って来い(相場がある水準まで上がった後に、もとの水準まで下がること)」に近い展開でした。


 週を通じて前週末終値(6万4,141円)を一度も下回ることがなく、下値を探る動きにならなかったことはポジティブに受け止めて良いと思われますが、株価の反発基調を維持できなかったことについては、ちょっと注意しておく必要があります。


 図1でも週間の高値(6万7,592円)と安値(6万4,201円)を描いていますが、週間の値幅が3,391円もあるため、週足チャートでは先週のローソク足が「上ヒゲ」の長い形となっています(図2)。


<図2>日経平均(週足) とMACDの動き(2026年7月24日時点)
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出所:MARKETSPEEDII

 ローソク足は期間中(日足や週足)の始値・高値・安値・終値の4つの価格の関係をあらわしています。


 始値と終値を「実体」と呼ばれる四角い箱のような形であらわし、終値が始値よりも高ければ「陽線」、反対に安ければ「陰線」となります。また、高値と安値については「実体」から上下に線を伸ばした「ヒゲ」を描きます。


 基本的なローソク足の見方として、実体は「相場の強さ」、ヒゲは「揺らいだ気持ち」を示しています。

図2のように、週足チャートにおける先週のローソク足を見ると、実体が短く、上に伸びたヒゲが長い形状となっています。


 つまり、「相場の方向感に欠ける中で、一時的に上値をトライする場面があったものの、結局は押し戻されてしまった」ことを示しています。さらに、上ヒゲの長さは、前週のローソク足の実体を超えていないため、「株価は反発する場面があったけど、あまり強くはなかった」ことも読み取れます。


 とはいえ、株価水準では、前週に続いて13週移動平均線を少し下回るところに位置しています。前回のレポートでも指摘したように、再び株価が反発していくのか、それとも、下値を探る動きとなるのかの分岐点である状況に変化はありません。


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今週は重要イベントが多い

 もっとも、こうした先週の相場展開については、目先の重要イベントを前にした様子見の動きも影響したと思われます。


 実際に、7月最終週となる今週の株式市場は、今後の相場の方向感を占う重要イベントが相次ぎます。具体的に見ていくと、28日(火)~29日(水)に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、30日(木)~31日(金)には日本銀行の金融政策決定会合が開催される「中銀ウイーク」となります。


 米FOMCについては、先日公表されたインフレ関連の経済指標(消費者物価指数(CPI)など)が落ち着いた結果となり、目先の利上げ観測は後退しています。しかし、足元では中東で再び緊張感が高まり、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)などの原油先物価格が上昇基調にあるため、インフレへの懸念は払拭できないままとなっています。


 また、日銀金融政策決定会合についても、政策金利の据え置きを見込む声が優勢ですが、直近の円安傾向や高市政権が掲げる経済政策への財政圧迫懸念などを背景に、会合後の植田和男総裁の記者会見などでタカ派スタンスが強調される可能性も予想されています。


<図3>日米の10年債利回り(日足)の推移(2026年7月24日時点)
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出所:Bloombergデータを基に作成

 図3は日米の10年債利回りの推移を示したものですが、両者ともに利回りが上昇傾向にあることがわかります。一般的に、利回り(金利)の上昇や高止まりは株式市場にとってネガティブに働くため、株価の上値が抑えられやすくなります。


 さらに、企業決算についても、注目企業の決算が相次ぎます。とりわけ、AI投資を積極的に行っている米ハイパースケーラー(メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)など)の決算が出揃います。


「AI投資計画は順調か」「投資に見合った業績・収益を上げているか」「競争が激しくなりつつある中で優位性を持っているか」「AI投資を続けられる財務的な体力はあるか」などをポイントにして見極めていくことになります。


 ただ、一足先に決算を発表したアルファベット(GOOG、GOOGL)は、業績が好調でありながらも、AI投資の財務面が嫌気されて株価が下落する初期反応を見せているだけに注意が必要です。


<図4>米アルファベット(日足)とMACDの動き(2026年7月24日時点)
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出所:MARKETSPEEDII

 アルファベットの決算は、先週22日(水)の米国株市場の取引終了後に発表されましたが、翌23日(木)に、いわゆる「窓」空けで下落し、200日移動平均のところまで急落しました。株価水準的にも、5月18日の高値から、弱気相場入りの目安とされる20%安の株価水準あたりとなっています。


 翌24日(金)も、前日と同じ株価水準での小動きとなっていますが、今週予定されている他のハイパースケーラーの決算を待っている様子がうかがえます。


 また、MACDが下向き、かつ「0ドル」ラインが抵抗として機能しているようにも見えるため、日足チャートの形状は下向きの意識が強まっていると言えます。


 さらに、先週の国内企業でも、半導体製造装置のディスコ(6146)が決算を発表しましたが、こちらも決算後の株式市場の初期反応は下落となっており、200日移動平均線のところまで株価水準を切り下げています。


<図5>ディスコ(日足)とMACDの動き(2026年7月24日時点)
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出所:MARKETSPEEDII

 ディスコの業績も好調さを示したものでしたが、2026年7-9月期の連結純利益見通し(395億円)が、市場予想平均(473億円)に届かなかったことが売り材料になりました。


 もちろん、国内企業の多くは業績見通しを保守的に見積もるところが多く、今後の業績が上振れる可能性も十分にあるのですが、足元の日米の相場環境は、AI・半導体銘柄にとって逆風が吹いているだけに売りに押されやすかった面もありそうです。


 また、今週は韓国の半導体メモリ大手のSKハイニクス(SKHY)とサムスン電子も、それぞれ29日(水)と30日(木)に決算を発表します。


 両社については、別のレポートでも紹介しましたが、韓国の株価指数であるKOSPIのウエート配分が多く、2社の株価の動きがKOSPI全体を大きく動かす構造になっているため、今週の日経平均もKOSPIの動きに連動する場面が多くなることも想定されそうです。


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目先は「レンジ相場」が基本シナリオか?

 したがって、今週は金利動向と企業決算の動向をにらみつつ、もうしばらく株価の調整局面が続くのか、それとも、ここ2~3年のAI相場のパターンと同様に、再び上昇基調に転じていくのかの天王山となるのかもしれません。


 とはいえ、これまで見てきたように、日米ともに金利が上昇もしくは高止まり傾向にあります。AI・半導体相場についても、旺盛なAI投資需要を好感する動きよりも、巨額のAI投資の持続性とリターンへの警戒の方に市場の関心が傾きつつあります。


 そのため、仮に今週以降の株式市場が上昇基調を強めたとしても、これまでの高値を更新していくだけの勢いを出せるかは、現在の状況からはイメージしにくく、急転直下の中東和平や、想定以上の決算サプライズなどの「プラスα」の材料が必要かもしれません。


 そのため、目先の相場はレンジ相場が基本シナリオになると思われます。


<図6>日経平均(日足)とMACDの動き(2026年7月24日時点)
日経平均「6万円割れ」の可能性も…指数の「下値・上値」めどは?今週の株価見通し
出所:MARKETSPEEDII

 図6は、日経平均の日足チャートですが、先週末24日(金)の株価はちょうど75日移動平均線のところに位置しているほか、6月22日の高値(7万2,831円)から、調整局面入りの目安とされる10%押しの水準を下回っており、調整含みの状況であることが分かります。


 下段のMACDも0円ラインを下抜けており、下落基調を強めているため、今週の株式市場が売り優勢となった場合、高値から20%押しの5万8,264円までのどこかで下げ止まれるかが下値の目安として意識されることになりそうです。


<図7>日経平均とPERとEPS(予想ベース)の推移(2026年7月24日時点)
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出所:日経新聞掲載データを基に作成

 反対に、株価の上値については、「どこまでの期待を織り込めるか」が焦点になってきます。6月半ばにかけてのAI・半導体相場では、旺盛なAI投資需要を背景にかなりの期待を先取りしてきた面があるため、企業決算では市場の期待値を超える業績を示すことや、その継続性などが問われることになります。


 図7では、株価(日経平均)と予想1株当たり利益(EPS)、そして株価をEPSで割った予想株価収益率(PER)の推移を描いています。直近で予想EPSが低下傾向にあることや、予想PERの水準が5月あたりから一段階引き下げられている様子が読み取れます。


 特にPERの引き下げについては、先ほども見てきた金利の上昇が影響しています。金利が上昇すると、理論株価を計算する際に用いられる割引率も上昇してしまうため、結果的に将来の価値を現在に割り引いた理論株価が安くなる、つまり、許容できるPERの水準が引き下げられることになります。


 先週末24日(金)時点の予想PERは17.82倍、予想EPSは3,625円となっていますが、株価が上昇していくには、金利が低下して許容できるPERが引き上げられるか、予想EPSが増加する必要があります。


 仮に、24日(金)時点の予想EPSの数字でPER18倍台まで許容できた場合には6万5,263円、19倍台までなら6万8,889円となります。今後の決算動向ではEPSが増加することも踏まえると、やはり7万円あたりが、上値突破の壁として意識されることになりそうです。


 したがって、目先の日経平均は5万8,000円から7万円のレンジ内で、「落ち着きどころの良い」株価水準を探っていく展開が中心になりそうです。


(土信田 雅之)

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