鶴岡慎也が語るパ・リーグ上位争いの行方(後編)

 首位を走るソフトバンク、それを追う西武、日本ハム。ペナントレースはいよいよ勝負の終盤戦へ突入する。

総合力で抜けるソフトバンク、強力な投手陣を擁する西武、12球団トップの本塁打数を誇る日本ハム──それぞれの強みと死角はどこにあるのか。鶴岡慎也氏に3チームの戦力を分析してもらい、キーマンを挙げてもらった。

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【ソフトバンクに勢いをもたらした新戦力の台頭】

── ソフトバンクは昨季MVPのリバン・モイネロ投手が調整遅れで前半戦の登板がありませんでした。それでも大津亮介投手、前田悠伍投手、松本晴投手たちの先発陣が奮闘しました。

鶴岡 昨季はモイネロ投手、有原航平投手、上沢直之投手、大関友久投手、大津投手がいました。モイネロ投手と有原投手が抜けたことで、大津投手の序列が上がりましたが、昨季からそれだけの力はありました。

── なかでも前田投手が一気に頭角を現しました。

鶴岡 前田投手はストレート、チェンジアップ、スライダーと、投げている球が本当にいいんです。テンポもコントロールも抜群。「そりゃ勝つよな」という感じの投手なので、それほど驚いていません。昨季もよかったのですが、先発投手がそろっていたので、なかなか投げる機会がなかっただけです。

── 小久保裕紀監督は前半戦を振り返り、「勝ちパターンの中継ぎを確立できた」とコメントしました。現役ドラフトで加入した上茶谷大河投手も中継ぎとして活躍しました。

鶴岡 ソフトバンクの強さは、7、8、9回を投げるリリーフ陣にあると思います。昨季は藤井皓哉投手、松本裕樹投手、杉山一樹投手がいました。今季は藤井投手がケガで離脱しましたが、そこに昨季不振だったロベルト・オスナ投手が入っています。オスナ投手は、すごかった時の状態に完全に戻っていますね。ストレートが150キロ台中盤、チェンジアップが140キロ台後半、カットボールも150キロ近く出ます。あのボールを終盤に投げられるのは、相手からすればかなり厳しいです。

── 昨季の日本シリーズMVPの山川穂高選手が不振でも、栗原陵矢選手が前半戦終了時点で30本塁打、近藤健介選手も78打点と好調です。

鶴岡 3番の近藤選手が、4番の栗原選手に「この投手にはこういう打撃をするんだよ」とお手本を見せているような感じですね。栗原選手がシーズン30本塁打を打つことはあると思っていましたが、前半戦だけで30発というハイペースですから。調子の波もほとんどありません。近藤選手とふたりで打点王を争っていることも、いい相乗効果を生んでいると思います。

── さらに正木智也選手が1番打者としてレギュラーに定着。

ウイークポイントと見られていた捕手には、DeNAから山本祐大選手をトレードで補強しました。

鶴岡 昨季は柳町達選手がブレイクしましたが、今季は正木選手が1番打者にハマりました。しかも、DeNAのレギュラー捕手だった山本選手をトレードで獲得したのには驚きました。山本捕手の加入によって、海野隆司捕手も必死ですよ。「この投手の時はオレが絶対にマスクを被るぞ」という感じでしょう。山本捕手を獲得したことで、海野捕手のレベルも上がっていると思います。

【西武を支える強力投手陣】

── 現在2位の西武ですが、3年連続2ケタ勝利の今井達也投手がメジャーへ移籍しても、チーム防御率はリーグトップです。

鶴岡 平良海馬投手が先発に転向するなか、クローザーに新人の岩城颯空投手がハマったのが大きかったですね。その前の8回を任される高卒2年目の篠原響投手もいます。ふたりとも7月は少し調子を落としましたが、「今シーズンをどう戦っていくか」という意味で重要な春先に、「今年はいけるぞ」という雰囲気をチームにもたらしました。

── もともと先発投手はそろっています。

鶴岡 髙橋光成投手、平良投手、隅田知一郎投手、武内夏暉投手と強力な先発陣がいます。春先に出遅れた中継ぎのトレイ・ウィンゲンター投手も防御率0.00。

篠原投手や甲斐野央投手から、新人クローザーの岩城投手へつなぐ勝利の方程式もできあがっています。

── 昨季、チーム打率リーグ最下位だった打線もパワフルになりました。

鶴岡 もう昨季とはまったく違うチームのようです。FAでDeNAから桑原将志選手、日本ハムから石井一成選手を獲得し、新外国人の林安可選手も加わりました。選手編成を見ていても、「今年の西武、本気やな」と思いましたね。主砲のタイラー・ネビン選手も、あいかわらずチャンスでよく打ちます。

── 若い選手も力をつけています。

鶴岡 昨季、我慢して使った長谷川信哉選手や滝澤夏央選手が力をつけました。滝澤選手は名手・源田壮亮選手を押しのけてレギュラーで出ているわけですから、ほんとにチーム内競争が激しくなったなと思います。

【それぞれのキーマンは?】

── 総合力のソフトバンク、投手力の西武、打力の日本ハムというイメージがありますが、それぞれにキーマンを挙げるとすれば、誰になりますか。

鶴岡 ソフトバンクは近藤健介選手、西武は?橋光成投手、日本ハムは水野達稀選手だと思います。

── 日本ハムは水野選手ですか?

鶴岡 日本ハムは打線のつながりもいいですし、先発投手も充実しています。

そのなかで、今季守備の要であるショートのレギュラーをつかんだ水野選手は、チームを背負う中心選手になっています。ふつうに取れるアウトを確実に取って、さらに内野陣をまとめられる選手へとワンランクアップできれば、それがチームの勝利に直結していくと思うんです。

── ソフトバンクが大きくリードしている展開ですが、このままいくと思われますか。

鶴岡 残り40試合ほどですが、もうひと波乱、ふた波乱あると思いますよ。

水道博●文 text by Hiroshi Suido

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