サマー2000シリーズ第5戦のGⅢ新潟記念(新潟・芝2000m)が8月30日に行なわれる。

 波乱の多い夏のハンデ重賞として知られていた一戦だが、昨年から別定戦へと変更。

今後、レースの傾向が変わっていく可能性は大いにある。事実、昨年は1着2番人気、2着1番人気、3着7番人気という決着。3連単の配当は1万2010円と、過去10年で最も安い配当となった。

 別定戦となったことで、メンバーの質も大きく変わっている。いわゆるハンデ戦狙いの馬が少なくなり、昨年もGⅠ級のメンバーが多数出走。そして今年は、さらに豪華な顔ぶれが集結した。そうした状況について、スポーツ報知の坂本達洋記者もこう語る。

「サマー2000シリーズの第5戦のレースではありますが、今年もシリーズ優勝の該当馬ナシという状況で迎え(※シリーズ優勝のために必要な合計13ポイント以上に届く馬の出走がナシ)、秋に向けての重要な始動戦といった意味合いがますます強くなっている重賞です。昨年から別定戦となったことで、賞金を持っている実績馬がより集まりやすくなり、今年はGⅠ馬が5頭と非常に楽しみなメンバーがそろいました」

 GⅢ戦ながら、注目度が増しつつある夏の大一番。今年のレースの行方について、坂本記者はこう解説する。

「主役と目されているのは、今春のGⅠNHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)を制したロデオドライブ(牡3歳)と、前走のGⅡ目黒記念(5月31日/東京・芝2500m)で3着と好走するなど軌道に乗ってきたダノンシーマ(牡4歳)。人気もこの2頭に集まると思いますが、ちょっとしたことがかみ合えば、逆襲できる力を持つ実力派がそろっていることを忘れてはいけません」

 人気の一角となるロデオドライブに至っては、初の古馬との対戦で初めての2000m戦。

しかも、斤量57kgと懸念材料が少なくない。坂本記者が言うとおり、馬場状況や展開、各馬の仕上がり具合によって、人気の盲点となる実力派の台頭が十分に考えられる。

 そこで、坂本記者が目をつけたのは、ゾロアストロ(牡3歳)だ。

「ハンデ戦時代も含めて、2018年のブラストワンピース、2023年のノッキングポイントと3歳馬が過去10年で2勝。昨年もエネルジコが2着に入って、その活躍が目立っています。その点からロデオドライブと同じ3歳馬である、この馬に注目しています。

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 そもそもデビュー前から大物候補として期待されていた素質馬。主な勝ち鞍はGⅢきさらぎ賞(2月10日/京都・芝1800m)だけですが、本来持ち合わせている実力はそんなものではないと思っています。

 前走のGⅠ皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)では、外枠の7枠14番発走から流れに乗れず、前を行く馬で決着したようにレース展開も不向きでした。不完全燃焼の走りに終わって、12着に沈んでしまったことも仕方がないでしょう。

 その後は、GⅠ日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)を目指していましたが、鼻出血のため、回避を余儀なくされました。競馬の世界で"タラレバ"を言ったらきりがないのですが、2歳時にGⅡ東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)で2着と好走しているように、左回りで直線の長い東京コースは好相性。

舞台替わりで巻き返しもあったのでは? と今でも思っています。

 そういう意味では今回、同じ左回りで直線の長い新潟コースになるのはプラス。現にデビュー2戦目には新潟の未勝利戦(芝1800m)を快勝しており、持ち前のキレ味を生かせる舞台は大歓迎でしょう。

 少しエンジンのかかりが遅い面があるため、外回りコースなのも好都合。メンバー的に見てもスローペースは濃厚で、"ヨーイドン"の決め手勝負となれば、55kgの斤量も有利に働くと見ています。

 この中間は入念に乗り込まれており、1週前の追い切りでは美浦ウッドコースで6ハロン81秒3-1ハロン11秒0と好時計をマーク。メリハリの利いた走りを見せていて、仕上がりに不安はなさそうです。

 陣営としては、今後に向けて賞金を加算しておきたいところでしょうし、ここでもやれるだけの実力があると見込んでの参戦でしょう。大駆けへの期待が膨らみます」

 坂本記者はもう1頭、気になる馬がいるという。ゾロアストロと同じ宮田敬介厩舎のステレンボッシュ(牝5歳)だ。

「競馬の格言に『2頭出しは人気薄を狙え』というものがありますが、今回に関しては2頭とも配当的な妙味があるので、どちらも狙うべきでしょう。同馬は定年によって解散となった国枝栄厩舎から転厩して、今回が4戦目。

着実に立て直しに成功しており、GⅠ馬の地力を甘く見てはいけません。

 昨年の今頃は、GⅡ札幌記念(札幌・芝2000m)に出走して15着。もはや燃え尽きてしまったのかと心配になるぐらいの不振に陥っていましたが、転厩後は環境の変化も手伝ってか、徐々に体が使えるようになってきました。3走前のGⅢ中山牝馬S(3月7日/中山・芝1800m)では7着でしたが、コンマ6秒差まで差し込んで、宮田調教師も復活への手応えをつかんだようでした。

 実際、続くGⅢエプソムC(5月9日/東京・芝1800m)では2着と復調の兆しを見せました。前走のGⅠ安田記念(6月7日/東京・芝1600m)は10着に終わったものの、相手が強かったうえ、現状はマイルの距離が短かったように感じました。今回の2000m戦は適条件と言え、巻き返しの可能性は高いと踏んでいます」

 好メンバーが集うようになり、"スーパーGⅢ"とも言われるようになった新潟記念。ここに挙げた2頭がハイレベルな争いで勝ち負けを演じ、好配当をもたらしても不思議ではない。

土屋真光●文 text by Masamitsu Tsuchiya

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