2020年の東京オリンピックでは、ついに空手が正式種目となる。実は、ここに至る背景にマイケル・ジャクソンの活躍があったことをご存知だろうか?

来日の目的はテーマパーク建設だった!?


そのきっかけは、マイケルが日本に滞在した98年7月24日~28日までの5日間にある。
大きな目的は、日本にオリジナルのテーマパーク「ワンダー・ワールド」を展開すると言うビジネスプランを自らの口で説明することにあった。

後楽園ゆうえんちや東京ディズニーランドを貸し切りにするなど、マイケルのテーマパーク好きは有名な話だ。お気に入りの地となる日本で、自分の理想郷を具現化しようとしていたのである。
また、世界展開を視野に入れた大型おもちゃ店の第1号店を日本にオープンするといった目標も掲げていた。

テーマパークの建設予定地は横浜であり、ホテルやゴルフ場、ショッピングモールも併設。ジェットコースター等のアトラクションはもちろん、スケートリンクまで完備で、その広さは東京ドーム2個分で予算はざっと200億円! しかも、その半分となる100億円をマイケル自身が出資し、その経済効果は2兆円と、何から何までスケールのデカい話がマスコミを賑わしている中での待望の来日だった。

しかし、実際に日本で開かれた会見では、建設場所や費用、時期も含めて具体的な話は一切出ず。
報道陣の質問にも答えることもなかった。
当時の新聞には、「マイケルがどこまで本気なのかは明確になっていない」とも。まぁ、そういうことである。

空手名誉5段を授与されたマイケル


そして、本題。この会見の前々日に、マイケルと空手の関係が大きくクローズアップされることになる。

98年10月、世界空手道連盟(WKA)士道館主催による 『キックボクシング・チャンピオンカーニバル・オールスター戦』が両国国技館で開催されたが、それに先立つ形で開かれた記者会見の席にマイケルがまさかの登場! その席上でマイケルは唐突に名誉総裁に任命され、士道館の空手名誉5段の賞状を授与されたのだ。
マイケルと空手、縁もゆかりもないような気もするが、実はマイケルは前年秋の極秘来日時に総裁と知り合い、空手の稽古を付けてもらったことがあると言う。


マイケルの「かかと落とし」は普通の空手家の5倍のスピード!?


総裁は「かかと落としの振り上げるスピードは普通の空手家の5倍!廻し蹴りで1度に7回もスピン!天才です」と、マイケルをベタ褒め。
カタカナで「マイケル・ジャクソン」と刺繍された空手の胴着がマイケルにプレゼントされ、有段者の証、黒帯が巻かれた。司会者は興奮気味に「マイケルは一気に5段!今日からすごく強いんです!」と、まるでパワーアップアイテムを授けたかのような意味不明なコメントで畳み掛け、両国大会での空手家デビューも約束される。
盛り上がる空手陣営と、困惑する報道陣との温度差が広がる中、壇上のマイケルの顔がいつも以上に白く感じられたのは筆者だけだろうか?

そして、この“マイケル上げ”にこそ、空手をオリンピックの正式種目にするためという大きな野望が込められていたのである。世界的スーパースターの知名度で空手のイメージアップを図ったのだ。
2020年の東京オリンピックでは、ついにその悲願が達成となる。
マイケルも喜んでいるに違いない。

ちなみに、大会ポスターやパンフレットにも「特別ゲスト」として大きく写真入りで告知されていたマイケルだったが、スケジュールの都合&体調不良によりドタキャン。結局、マイケルの空手のポテンシャルは謎のままである…。
(バーグマン田形)

※イメージ画像はamazonよりマイケル・ジャクソン:ライフ・オブ・アイコン 想い出をあつめて コレクターズ・エディション [Blu-ray]