日本一地価が安いのはドコ?
雪を眺めながらの生活もいいなあ……(写真はイメージ)
毎年この時期になると、ニュース報道などで「今年最も地価が高かったのは……?」と、ド級な地価を見せつける『都道府県地価調査』。そもそもこの調査、土地売買などの指標のために行っているというが、1平米数百万円! と聞けば、地価なんて関係ない……と思っている人でも嫉妬の念に囚われてしまうのは気のせいか。

しかし、毎年この発表を聞くたびに抱く一つの疑問がある。
「じゃあ、日本一地価が安いのはドコ?」
もはや“じゃあ”の意味もわからないが、疑問を晴らすべく国土交通省に問い合わせてみた。

今年の地価調査(正式名称:「平成17年度都道府県地価調査」)は、9月21日に発表された。全国に26,521箇所のポイントを設け、鑑定士がその土地の環境や売買状況などをもとに算出しているとの事。住宅地の他にも商業地や工業地、住宅見込み地などの区分に分けられているそうだが、今回はやはり生活に密着した住宅地で聞いてみた。

まず、一番地価が高かった土地は『東京都千代田区5番町12番』で1平米なんと、240万円!(坪当たり792万円) 「牛丼が8000杯くらい食べれるな」なんて、貧乏性丸出しの想像をしながら勇気を出して本題を切り出してみた。

「日本で一番地価が安いのはドコですか?」
すると意外とあっさり教えてくれた。今年、一番地価が安かったのは……、『北海道雨竜郡幌加内町字朱鞠内6400−14』で、一平米なんと800円!(坪当たり2640円) 安い! さすが日本一である! 一番高い千代田区5番町を一坪買う値段で3000坪買えてしまうお値段なのである!

果たしてそこは一体どんな場所なのか? 幌加内町役場に話を聞くと、この土地は、札幌からバス、電車を乗り継いで約3時間の豪雪地帯。朱鞠内湖という人造湖に面した人口300人程度ののどかな町だという。「地価が一番安いとの事ですが」と聞いたら、「そうみたいですね」と優しく笑いながら答えが返ってきた。

話を聞いているうちに、静かな湖畔で鳥のさえずりを聞きながらゆっくりと生活する人々を想像してしまった。きっと日本一地価が安いとか関係ない素敵な場所に違いない。
そう考えると、高い地価を聞いて驚いている場合ではないように感じた。
(木南広明)