外でカレーでも食べようと、カレー専門店や喫茶店などを覗いてみるとメニューに並ぶのは、“週末のお家カレー”や“お母さんのカレー”など、やけに“家”を推すカレーばかり。今、カレー屋のブームは、“家カレー”のようだ。


まず、“週末のカレー”を提供しているお店に伺ったところ、「最近は本格的なカレーよりも、家庭的な雰囲気のカレーを求めている人が多いですね」とのこと。
ではその“家カレー”と言うのは、いったい全体なにものなのか。
「解釈は人によって異なるとは思いますが、具は大きめ。こだわった具材やスパイスなどは使わず、ただじっくりと煮込むことですね。週末に時間をかけて作るような緩い感じのカレーが家カレーだと思います」
力をこめず作ることで、毎回味が変わってしまうそうだが、
「それもまた家カレーの特徴」
とお店の方。確かに家で作るカレーは毎回微妙に味が異なる。
具のせいか、作り手のせいか。

家でカレーを作る、と言う人にアンケートをしてみると、家カレーでの人気具材はもちろんお肉とジャガイモ。
ただしジャガイモを剥くのが面倒という時はカボチャを使ったり、お肉も高ければ、ミンチやウインナーで代用したりと懐具合やその時の気分で具は変更されがち。好みなどにも影響されるが、毎回同じ具を使う人は少ないようだ。
ただし、こだわるべきところは“ルー”だそう。カレールーは必ず2種類以上、それもメーカーを変えて使う人が多数。

中辛×辛口カレールーの組み合わせが特に人気で、同じ中辛でもメーカーによって辛さが異なるため、研究して好みの組み合わせを見つけ出す人も。

では、人気の辛さは甘口、中辛、辛口のどれなのか。カレールーを出している会社数社に問い合わせをしてみると、いずれも「中辛ですね」の答え。
その上、「夏は煮込み料理は暑く、カレーの人気も落ちそうなものですが、不思議と売上げは高い季節です。特に夏は普段あまり出ない辛口が売れるのも特徴ですね。涼しくなるとまた中辛が盛り返して来ますが」とのことで、カレーは何も、おせちにあきたころだけのものではないらしい。


さらに家カレーは、「締めにチョコレートを入れる」や、「醤油とソースそれにコーヒーを少々」など、隠し味が多様化するのも特徴だ。
それも高級品ではなく家にあるものを、適当に加えるパターンが多い。

隠し味の入れ方のポイントを、カレー専門店のシェフに聞いてみると、
「隠し味というくらいですから、本当にちょっとだけにしてください。沢山入れてもそれは隠し味とは言いません。それにルー自体が完成された味ですので、何種類も隠し味を加えるのは控えた方がいいですね」
と、隠し味を入れる時にはご用心を。

とはいえ、あれこれいじって楽しいのが、家のカレー。
この週末は、特製のお家カレーはいかがでしょう。
(のなかなおみ)