バレンタインデーを始めとし、毎月14日ごとラブにまつわるデーが用意されるなど、恋人同士のイベントが何かと多いのが韓国である。
付き合い始めた日を記念日とし、毎年その日にお祝いをするカップルは日本でも少なくないだろうが、こちら韓国では「つきあって100日」という記念日もあり、「つきあって1年」の記念日同様、広く認知されているようだ。

100日という概念にあまり慣れない日本人の私としては、「数えるのが難しくない?」「ちょっと面倒くさくない?」と余計な詮索をしてしまうが、その辺のところを周囲にいる20~30代の韓国人に質問してみた。

私が聞き歩いた印象としては、つきあって100日を祝うことに対する肯定派・否定派の勢力は、ほぼ互角といったところだ。
肯定派の意見は、「ぜったいお祝いするべき」(Uさん・26歳女性)、「なんだかんだ言ってプレゼント交換だけはした」(J君・33歳男性)、「1年目の方が重要だけど、つきあって最初のお祝いだから嬉しいよね」(I君・27歳男性)、「お祝いしたかったのに、彼女が積極的じゃなくて悲しかった」(J君・27歳男性)といったもの。
一方、「しない、数えるのが面倒だから」(G君・28歳男性)、「出費が負担」(Sさん・29歳女性)、「日本人女性と付き合ったら、100日祝いがなくて助かった」(Sさん・32歳男性)、「みんな、友達への対抗心で100日をするんじゃない?」(Hさん・32歳女性)といった否定派の意見も多数聞くことができ、100日を祝う・祝わないはカップルによりけりなのだということがよくわかる。

つきあって100日目のお祝いには、ふたりで食事をしながら、指輪などをプレゼントするのが一般的なようだ。プレゼントは二人で交換することもあれば、男性だけが用意することも多い。
車のトランクをあけたら風船が溢れ出て……そんなサプライズを準備する粋な男性もいるとか。いずれにせよ、「お金がかかる」という意見が挙がるのは、ごもっとものようである。
おもしろいものでは、「今日は俺たち、つきあって100日目なんだ」とアピールして、周囲の人から100ウォン玉(約7.8円)づつもらう、なんてイベントも一部では行われているそう。「僕はあげなかったけどね。だってそいつの彼女が、僕の好きな人だったから……」とセンチメンタルな答えをしてくれたのは前述のI君。

さらに、100日祝いをするだけではなく、200日、300日、400日……とエンドレスにお祝いするカップルもいるのだそう。
200、300は行わずとも、「つきあって1000日」を盛大に祝うカップルは少なくないとか。
そうなると1年の間に、つきあって100日祝いから300日祝いまでの3回と、つきあって1年目祝いと、そしてお互いの誕生日や、バレンタインデーなどの一般的な記念日を入れたら、毎月1~2回はふたりのためのイベントがあることになる。なかなか壮大な話である。

また、「100日目のお祝いは、彼氏が当日までだまって準備するものであり、彼女はその日になるまで何も言わない」という意見も、ちらほら聞くことができた。
100日目のことを彼氏が忘れてしまっていたら、彼女によっては別れる・別れないの大問題である。そんな時、携帯電話に内蔵された機能を使って前もって100日目の日を算出しておくのが便利だということだ。
さっそく設定の仕方を教えてもらった。
しかし世の中には、つきあい始めた日があやふやなカップルだっているのではないか。そう質問すると、「その時はカップル同士で話し合って、適当な日にちに決めればいい」とのことだ。「覚えやすいよう、事実とは違うキリのいい数字に設定する人もいますよ」とG君は話す。

韓国人にとっても100日目のお祝いは、やはり面倒な部分がない訳ではないようだが、それはそれ、面倒な部分はふたりで自由にルールを決め、それぞれ楽しくやっているという印象を受けた。ふたりが楽しいというのは、結構大事なことだと思われる。


なお韓国では、「つきあって100日目」のほか、受験生が試験の100日前に遊びおさめの酒を飲んだり、軍人が入隊100日目に初めて長い休暇をもらえたり、イベントのカウントダウンが100日前から始まったりと、100にまつわる儀式が何かと多いようである。中でも最も重要なポジションにあるのが、赤ちゃん誕生100日目を祝う「百日(ペギル)」というお祝いだろう。
100というきっちりとした数字には、韓国人の心をとらえる何かがあるのかもしれない。あるいは彼ら、単にイベントが好きなだけかも、と思ってみたりもするのである。
(清水2000)