2002年7月に施行された、特定電子メール法。受信者の許可なしで商業広告メールを送るときは、件名の頭にこんな表記をすることが義務付けられた。


「未承諾広告※」

これに従う業者も、それなりにはあった。ただしばらくすると、捕まらないと判断したのか、未承諾広告※の文字は徐々に減った。フィルターをすり抜ける「未承諾広告*」や「末承諾広告※」みたいなバッタモンも、ほどなくして同じように。

今、「未承諾広告※」って書いたメールを送ってる業者はあるんだろうか? 迷惑メール相談センターに話を伺った。
「2008年12月の特定電子メール法改正によって、相手の承諾なしで営利目的のメールを送ることは、『未承諾広告※』と明記しても原則的に禁止となりました。そのため、今は未承諾広告※をつける意味がなくなり、見なくなったかと思います」
すみません、知識不足でした。
そりゃ見かけなくなったわけです。

迷惑メールが社会問題になったのは、2000~2001年ごろ。ある携帯電話事業者では、送信された携帯メールの84%が、存在しないアドレスに送られたメール、つまり主に手当たり次第で送られたと思われる迷惑メールだったという。そんな状況をなんとかしようと制定されたのが、特定電子メール法だった。

ただ総務省によると、迷惑メールでの摘発事例は、施行から2008年12月の法改正までの6年半で、6件。未承諾広告※の効果は、正直それほどなかった。

「2002年7月に法律を制定したころ、携帯電話のメールの苦情は一時的に減りました。ですので、一時的には効果があったと思えますが、『未承諾広告※』とつければ送ってもいいということで、逆に広告メールの送信を招いたという側面もありました。そうした経緯もあり、2005年と2008年の法改正に至っています」

悪質な出会い系サイトなどは、できてはつぶれ、できてはつぶれていく。迷惑メールを送った業者を摘発するため、情報を掴んでその所在地へ行くと、部屋はもぬけの殻ということもたびたびあったという。
未承諾広告※以来、法律での迷惑メール対策は悪戦苦闘中。

「今回も2008年12月の法改正以降、迷惑メールに関する苦情は減っています。
ただし効果は検証中です。法律は3年ごとに見直しになっていますので、検証結果からまた法改正が行われていくかと思います」(総務省)

ちなみにどうでもいい話だけど、迷惑メール相談センターのメールアドレスにも、迷惑メールは届いているという。
もちろん『未承諾広告※』はもう、届いていない。
(イチカワ)