テレビで芸能人の字を見たとき、こんなことを思ったことはないだろうか。
「このアイドルの娘、字が汚いからだらしないんだろな~」
「この芸人、バカなことばっか言ってるけど、字がきれいだから意外としっかりしてるのかも」

芸能人に限らず、字のきれい・汚いで人の印象は変わる。
字がきれいな人はなんだか信用できそうな気がするし、逆に汚い人は信用度がいくらか落ちる。だから誰だって、汚い字は書きたくない。

でもよく考えてみると、何をもって「汚い字」なのかって言われると困る。とっても曖昧だし、感覚的なもんだから説明が難しい。

「汚い字」に、定義ってあるんだろうか? 日本唯一の書写検定試験・硬筆書写検定を実施している、日本書写技能検定協会に伺った。
「まず基本的にきれいな字というのが、形が整って、中心の線に沿って、バランス良く書けている字のことなんですね。
そうでない字が、汚い字ということになります。具体的には、文字の形として、左右対称がずれている、偏とつくりの関係がかたよっている、偏とつくりが空きすぎている、などです」
当たり前っていえば当たり前か。意外な定義を期待してた方、すみません。

じゃ、きれいな字を書くコツってあるの?
「基本ですが、大事なのは書き順を守ることですね。書き順に基づいて漢字は成り立っていますから、書き順がデタラメですと、形まで崩れてきます。また本や新聞の活字など、きれいな字をまねて書くことも、ひとつの方法です」

子どものころ、書き順を確かめながら、灰色で書かれた上をなぞって習った文字。
そんな誰もが経験してきたことこそ、きれいな字を書く基本のようだ。
それと漢字かな混じりの文章では、例えば漢字やアルファベットの大文字を大きめに、かなやアルファベット小文字、アラビア数字を若干小さめに書くと、きれいな文章に見えるという。これも経験則でなんとなくわかってたことだろうけど、改めて気をつけたいとこだ。

ちなみに汚い字でも「味がある」って表現されることがある。「汚い字」と「味がある字」には、どんな違いがあるんだろうか?
「例えば文豪であれば、その人の文学的な世界観というのがあることで、味わいが生まれるんですよね。その人物の個性というか。
ただその文字が実用的かは別です。鑑賞するものですので、一般の方はあまりそういうところにはいかないほうがいいですよね」

字が汚いからといって、味があるっていう言葉に逃げちゃいけないみたいです。
(イチカワ)