ルームシェア生活。気にはなるものの、うまくやっていけるか不安な人も多いのでは?
例えば、光熱費はどうする? 黒いGが出たらどうする?
などなど、ルームシェア生活で起こるちょっとした出来事を漫画にしている、植木葉月さんに話を伺った。


「なんとかなる」


植木さんがルームシェアを始めたきっかけは、女性の友達(通称「置物さん」)からのお誘いだった。置物さんは実家から片道2時間もかかる通勤生活に別れを告げたいと思い、1時間かけて実家から通勤していた植木さんに声をかけたという。リビング・ダイニングと約六畳の部屋が二部屋という間取りだ。

――初めてのルームシェアって不安になりませんでしたか?
「なんとかなると思ってましたね。ただ、ルームシェア経験者の中には『いつも一緒だったから、かえって仲が悪くなってやめた』という人もいるようなので、不安はなかったわけではないけど、大丈夫だろうという気持ちの方が強かったです」

二人はお互いが通勤しやすい場所に部屋を構えることができ、ルームシェア生活がスタートした。

緊迫! Gが出現したらどうするか?


ルームシェアをしている人(同棲している人、家族で暮らしている人含む)に、ぜひ聞いてみたいことがある。それは「部屋に『G』(ほら、あの黒光りしたヤツです)が出たらどうするか」ということだ。
筆者は一人暮らしなので、一人で黙々と袋に包んで外に出して退散してもらうが、2人で暮らしている場合は、退治する役割などは決まっているのだろうか。
Gが現れた時の植木さんと置物さんの場合を漫画で見てみよう。
二人暮らしで黒いGが出たらどっちが退治する?

二人暮らしで黒いGが出たらどっちが退治する?

二人暮らしで黒いGが出たらどっちが退治する?

二人暮らしで黒いGが出たらどっちが退治する?

二人暮らしで黒いGが出たらどっちが退治する?

二人暮らしで黒いGが出たらどっちが退治する?

「置物さんは『見なかったことにしたい』らしいのですが、私はそんな、いつ再び出現するか分からないような、ホラー映画みたいな生活は嫌なので、私が追い込んで紙袋で押して処分します。某ファストフードの紙袋って柔らかくて使いやすいんですよ(笑)。次の日には、置物さんは自分の武器という事でゴキジェットを手に入れていました。私が物理担当だとしたら、彼女が魔法担当という感じです。退治したらゴキジェットを噴射しておいて、二度と現れないように万全の対策をとっておきます」

せっかくなので、他のルームシェア経験者にも聞いたところ……。


・二人で大騒ぎをした後、勇気がある方がスプレーを持って立ち向かう。
・コンバットスプレーでなんとかする。
・同居人は逃げるので、退治するのは私の役目です。
・二人のうち、Gの近くにいる方がなんとかする。自分が退治した時でも「ご遺体」は相手に処分してもらう。
・大家さんを呼んでくる。


ちなみに、大家さんはおばさんだそうだ。大家さんも大変である。

色々な人に聞いたところ、二人のうちのどちらかが「Gの顔も見たくない」「そもそも、処分するのも嫌」「Gなんかがいる部屋から家出したい」という人が多く、もう片方の人が仕方なく勇気を出して立ち向かうケースが多いようだ。夫婦生活を送っている人も、旦那が留守の場合は「自分で退治するものの、最後の処理は旦那が帰ってくるのを待って任せる」という声があった。
昔、スプレーをすると泡が出てきて、泡に包まれてGが動かなくなる……という便利品もあったが、結局はその泡だらけのGをどうやって始末するかという問題になるようで、なかなかうまい具合にはいかないものである。ちなみに、スプレーがない時は中性洗剤をかけると動きが鈍くなるのでお試しを。
それでも処分すること自体が地獄なわけだが。

二人でうまくルームシェアをするコツ


植木さんと同居人はこれといったトラブルもなく、楽しくルームシェア生活を送っている。これは同居生活を始めるにあたって、最初に二人でルールを決めたことが役に立っているそうだ。
「グーグルドライブ(文書や画像などを共有できるツール)にフォルダを作って、あらかじめ決めておいた方が良さそうなことを、お互いに入力していきました。気になる点があれば赤字を入れていくことにしつつ」

それでは、植木さんが同居人と決めたことの一部を紹介。

・光熱費は折半。
節約できない場合は話し合う。
夏は暑いので今はエアコンを使用しているものの、冬は暖房を使わず、なるべく我慢して過ごしたそうだ。
「人が遊びに来た時に『寒い!寒い!』と何度も言われました(苦笑)」

二人でルームシェアをする場合は、部屋にあるエアコンの位置も大事とのこと。
「リビング・ダイニングスペース以外はひと部屋に1台あります。折半なので、滞在時間に差が出る(エアコンの使用頻度がかなり違う)ようだったら話し合います」

――朝食はどうしてるんですか?
「起床時間が違うこともあって、お互いがバラバラに朝食をとります。同居人は自炊をしないんですけど、私は昼食のお弁当を作るので、私が作ったお弁当を同居人に50円で売ってます」

――ご、ご、50円!? 安すぎませんか!?
「私がお弁当を作ると光熱費がかっちゃうし、50円でいいかと」
思わず「せめて100円ぐらいに上げればいいのに!?」と言いかけたが、そういう問題でもなさそうだ。
それにしても「50円」って!

――ちなみに電気の契約は何A(アンペア)にしてますか?
「30Aです。今のところブレーカーは落ちてません(笑)」

・冷蔵庫に入れるものには全て自分の名前を書く
いちいち名前を書くのが面倒だという人は、マスキングテープを貼るか、冷蔵庫の中を半分に仕切るという方法もある。植木さんの場合、週末は植木さんが料理をふるまうことがあるそうで、その時の材料代は折半するそうだ。

・相手にとって知らない人を家に入れる場合は、事前に相手の承諾を得ること。10分前でも大丈夫だが、できれば前日には伝えることが望ましい。どういう人なのか、関係性も明記すること。

もちろん、「決めたルールはしっかりと守る」(ルールを変えたい場合は相談する)というルールも設けている。 「相手を気にしすぎないのも重要です。あまり細かいことを気にしない人とルームシェアすると良いと思いますよ」

――ストレスはたまりませんか?
「置物さんへの不満はなくて、部屋の収納場所が少ないとか、あともう一畳でも広かったら筋トレができるのに……とかそういう感じですね。部屋の広さは同じくらいが理想ですが、部屋を決める時に収納場所や洗濯機の位置などは細かく確認したほうがいいかもしれません」

また、同居人とある程度同じ職種であれば、帰る時間が不規則などといった、相手の仕事の辛さが分かるため、うまくいきやすいのではないか、とのこと。ちなみに、植木さんは『ジョジョの奇妙な冒険』の大ファンで、いつか置物さんに「ジョジョ」の面白さを分かってもらえる日がくるよう、初心者でも入りやすいアニメ版のDVDで「ジョジョジョウエイカイ」を開催することで、置物さんもジョジョ好きになったそうだ。奇妙な生活どころか、「ジョジョに楽しい生活」になってきているのである。
(取材・文/やきそばかおる 漫画/植木葉月)

●植木葉月さんのサイト「ウェキペディア」。ルームシェア漫画も公開。
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