ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く
昔ながらの製法で作られた羊羹は、一つ一つ丁寧に包装される(写真提供・Nikon)

カメラなどの精密機器を製造するニコンのミュージアムが、JR品川駅港南口から徒歩7分のところにある。2017年7月に迎える創立100周年を記念して、2015年10月17日にオープンした。


入場者数は2月22日の時点で2万人を超え、半数以上が男性の来場者だという。そのミュージアムでお土産として売られている「ニコンようかん」が大人気らしい。「ニコンミュージアム」に伺い、「ニコンようかん」誕生の経緯を取材してきた。

ニコンミュージアムをまわる


ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

入ってすぐのところにいきなりのミュージアムショップが! 出入り口はここ1カ所なので、まずお土産を眺めてミュージアムをまわっている間にどれを購入するかを悩んでもいいし、最後の楽しみに取っておいてもいい。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

ミュージアムを入って正面には、光学ガラス溶解用の大型「るつぼ」が展示(2月24日から4月上旬まで)。

シアターでは10分程度の映像で、ニコン100年の歴史を見ることができる。ここで流れる映像はニコン100周年のために作られたものだ。
アニメ・ゲームミュージックほかで知られる和田薫氏によって作曲された交響組曲に乗せて、創業当時の写真など貴重な資料が映し出される。

展示ゾーンには、カメラ約450点も展示されている。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く


左が1948年発売のニコン初の小型カメラ「Nikon I型」。「Nikon」というブランド名が初めて使用された。右は1957年に発売された「Nikon SP」と「FLASH UNIT BC-5」。フラッシュには閃光電球を使用し、発光のたびに電球の交換が必要だった。

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ニコンのカメラはNASAのスペースシャトルに乗って、宇宙でも活躍している。
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コースを進んでいくと、カメラだけではなく半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置などの産業関連機器の歩みも実物資料と映像で展示されている。
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バイオ・医療関連機器の展示も。
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戦時中に活躍した大型探照灯用反射鏡(サーチライト)の実物も展示されている。船舶や陸上の施設に搭載され、夜間の捜索作業などに用いられた。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

ニコンは日本で最初に本格的な天体望遠鏡を手がけたメーカーのひとつで、先日、金星へ軌道投入が成功して話題になった「あかつき」など、JAXAが打ち上げる衛星へニコンの光学機器が搭載されている。

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見学コースをぐるっと1周すると、始めの物販コーナーへと戻ってくる。
手ぬぐいやトートバッグなどミュージアム限定グッズも販売されている。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

ニコンようかんが誕生した理由


ここでの一番人気は「ニコンようかん」だという。なぜ、カメラメーカーのニコンが羊羹を販売しているのだろうか?
非常に気になるので、詳しいお話をお伺いしてみることに。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

ご対応いただいたニコン100周年プロジェクト室の岩田さんと長田さんによると、こういった羊羹のことを「企業羊羹」と呼ぶという。羊羹の老舗企業である本宮(栃木県大田原市)が元々、ある企業の生協で羊羹を販売しており、この羊羹に企業名を入れたらどうかと当時の本宮の社長が考案したのがはじまりだった。


1973年ごろ、それが各社に波及して、企業名入りの羊羹が売店で売られるようになり、このときにニコンようかんも誕生した。もともとは社内の売店のみの販売で、ニコン社員が東京土産として地元へ持って行ったり、社内のお茶受けにも出されたりしていたという。
現在でもニコンのほかに、本宮製造の企業羊羹がいくつもあるという。


羊羹などミュージアムショップの商品は券売機でチケットを購入する。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

チケットはすぐ横にある受付で商品と交換する。
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5本入りのニコンようかん(700円)。
パッケージもオシャレだ!
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味は小倉、塩、本ねり、ゆず、ゴマの5種類で、賞味期限は1年と長期保存も可能だ。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

塩羊羹で有名な栃木県の本宮で製作された羊羹と、ニコンというブランド名が融合した「ニコンようかん」。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

包装は真ん中に開け口があり、手を汚さずに食べる事ができる。控えめな甘さがとても上品で、お土産に自信を持って選べる逸品。
ニコンがミュージアムで売っている羊羹が人気! 「ニコンようかん」誕生の経緯を聞く

現在はニコンイメージングジャパンのオンラインショップからも購入することができるが、ひと口サイズの羊羹の5個入、10個入はミュージアム限定販売となる。
オープンから2016年1月末までの間にミュージアムショップで2000個を売り上げる人気商品の「ニコンようかん」。
オシャレな特別パッケージは、ニコン社内のカメラデザイナーがパッケージデザインを手掛けたものだった。
(すがたもえ子)