ネット上などで「美味すぎる」と話題になり、品薄のニュースも報じられる、「いなば ツナとタイカレー」シリーズ。

ローソンストア100などでは100円で購入できる缶詰めながら、うっかり「タイカレー風味のツナ」程度を予想して食べようものなら、あまりの本格的な味に面食らう。

正直、飲食店で提供されるものにも遜色ないレベルだと思う。

それにしても、なぜ缶詰めでタイカレーを? いなばではもともと「ツナ&コーン」等のミックス缶などをいち早く取り入れている(コネタ既出)だけに、その応用だったのだろうか。
いなば食品に開発の経緯などを聞いた。

「『ツナとタイカレー』(グリーン、レッド)2種は2011年9月に発売し、その半年後に『チキンとタイカレー』(イエロー)を発売しました。もともとツナ缶から始まって、『ツナコーン』等の『ツナと素材』シリーズ缶を出していたり、味付けシリーズ缶の『味付けフレーク』『やわらか煮』『かつお大根』等を出していたことがあり、新たなバリエーションとして考えたことがきっかけです」

とはいえ、「和食」系が多かったなかで、唐突にも思える「タイカレー」。なぜなのか。

「新たなバリエーションを考える際に、こうした味付け缶やおかず缶を、もともとタイの工場で製造していることから、タイの定番料理『タイカレー』を思いついたのです』(マーケティング部)
つまり、最初から「タイカレー」を考えていたわけではなく、タイの工場で様々な商品を製造していることから、「タイ」つながりで偶然生まれた発想の商品ということのよう。

「当初はここまでのクオリティを考えてはいなかった」と言うが、実際に商品化にあたって、工夫した点・苦労した点はどんなことだったのだろうか。
「現地の香辛料を使用し、味を調整したことが工夫した点であり、苦労した点です。日本で試作してタイで製造したわけではなく、最初からタイ現地で試作および製造をしています」
ポイントはやはり、現地での香辛料を使っていること。「コスト的な面を考えても、日本では作れない商品だと思います」と担当者は付け加える。

そういえば、「ツナ&コーン」コネタ記事でも、こんなコメントをくれた、いなば食品。

「ツナ業界では、うちは1位のはごろもフーズさんに大きく離されて2位なんです。これは販売力の差もありますし、缶詰コーナーでは特売品をまとめて買う方が多いこともあって、100円ぐらいの商品でちょっと変わった商品など、いろんな商品を出してなんとかやっていっています」
王道商品では1位じゃない会社だからこそ、アイディア勝負の商品が次々に生まれ、そうした挑戦が実を結んだ例のひとつが、「タイカレー」なのかもしれない。

いなばの「タイカレー」シリーズは、依然として品薄状態が続いているものの、以前に比べれば生産量を増やして対応中だそう。
先述のローソンストア100のほか、イトーヨーカドー、ダイエー、イオンなどのスーパーで購入できるそうなので、まだ食べていない人はぜひお試しを。
(田幸和歌子)

「いなばのタイカレー」公式サイト