出演者は平田広明、森田成一、寿美菜子、楠大典、伊瀬茉莉也、津田健次郎、井上剛、岡本信彦などのキャスト陣。
主題歌、挿入歌を担当するUNISON SQUARE GARDEN、NOVELS、Rihwa。
そしてヒーロースーツ(着ぐるみ)で登場のワイルドタイガー、バーナビー・ブルックス Jr.、スカイハイだ。
場所は舞浜アンフィシアター。東京ディズニーリゾートに立地する多目的ホールで、半円形のオープンステージを取り囲むようすり鉢状の座席。その数、2170席! チケット料金、9240円(税込)。
座席図を見てもらうとわかるように、会場、ものすごい広い! 座席数多い!
このイベントは初日舞台挨拶も兼ねている。「舞台挨拶」は基本的に映画館で行うもの。だいたい400人くらいのお客さんの前に、出演者や監督が登場、スクリーンの前のスペースに並んで順番に挨拶したり、軽くトークしたりというのが定番だ。だが、これは違う、だってまず会場が舞浜アンフィシアターだ、2170席だ!
え、これ全部埋まるの!? いやいや、開場を待つあの大行列を見たじゃないか!
客席は一気に、黄緑&ピンクのシャツ(「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-応援Tシャツ」主人公、虎徹とバーナビーのイメージカラー)で埋まる。95%が女子。「タイバニ」人気、すごい……! こんなことになっていたんだ!
しかも、全国100か所以上の映画館、香港、台北でライブビューイング(イベントの様子を映画館のスクリーンで同時上映すること)が開催されているという。この劇場数……!
「TIGER & BUNNY」がどういう作品なのかは、以前エキレビ!でも、たまごまごさんがグワっと書いてくれたので、割愛。
「ヒーローの体に牛角やペプシのタイアップ広告!?『タイガー&バニー』のユニークな試み」
「キャラの体に17社のスポンサー! サンライズ宮河恭夫が語る『TIGER & BUNNY』ヒットの裏話」
第1部:ヒーローソングライブ
第2部:「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」上映
第3部:キャストトーク&アーティストライブ
イベントは、3部構成になっている。
奈落から迫り出しでステージ前方に現れる平田広明と森田成一。劇中で虎徹とバーナビーが乗っているバイクにまたがっての登場だ。この時点で会場のテンションはクライマックス。割れんばかりの黄色い声。見渡す限りのサインライト(これも、劇場グッズのサイリウム)が揺れる。2000人が一体になっている会場、半端無いぞ!
タイガー&バーナビー(平田広明&森田成一)の「正義の声が聞こえるかい」や、折紙ロックハイ(岡本信彦、楠大典、井上剛)の「OK, YOU JO×IN US!!」、乙女☆クラブ(津田健次郎、寿美菜子、伊瀬茉莉也)の「恋するヒロイン」など、キャラソンを披露。
ライブ演出、凝りまくっている。
巨大モニタにアニメ映像が流れるだけではなく、曲ごとに違う効果を付けたり、飛び出す歌詞などの細かさもにくい。回転する床に乗るキャスト陣は、大きな輪のフォーメーションになっている。背後の巨大モニタでは、8人のヒーローたちが、ステージ上と同じ演出で回転しながらつぎつぎと登場。2次元と3次元が完全にシンクロしている。
空飛ぶヒーロー、スカイハイをワイヤーアクションで実際に吊るしたり、折紙ロックハイの3人も、どこぞのジャニーズかというくらいの振り付けを披露している。
会場の「舞浜アンフィシアター」は、もともと、2008年10月に「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」として、日本初のシルク・ドゥ・ソレイユ常設劇場としてオープン。
しかし、東日本大震災の影響などにより、2011年12月31日をもって、シルク・ドゥ・ソレイユとの契約も解消し、公演終了。
そして、イベントの最後にスタッフロールが流れて気が付いたんだけど、「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning- WORLD PREMIERE」のスタッフとして、ジャニーズ系に強い、とある映像会社が協力していた(以前、おれがバイトしていたところでもある)。
会場や準備の段階から、お客を最大限に楽しませるパフォーマンスとして、最良のものがすでに選択されていたということに驚いた。キャストも役になりきっている。
井上剛は、自己紹介時、「井上剛役のスカイハイです」と挨拶。わざと言ったのかと思っていたら、つい言ってしまったそうな。スカイハイと同じく天然キャラクターなのか。
特に平田広明は、「アシュラ」の先行プレミア上映会で見せた顔とはまったく違う。
野沢雅子が何も食べずにアフレコしているなか、さとうけいいち監督が大福を食べていたことを暴露していた平田広明ではない。
歌っている最中やトーク時に見せる、森田成一との、アイコンタクトのような、絶妙な間。
「タイバニ」ラジオ番組「HERO RADIO」に、伊瀬茉莉也が出演したときの感想として、「バーナビー(森田)が冷たかったんですよー」と言うと、平田は「俺がゲストで行ったときはいつものバーナビーだったよ」と、完全に虎徹としてしゃべっていた。
もうっ! キュンとしちゃうじゃないの~(ネイサン風に)。どこまで演技でどこまで天然なんだ、平田広明、恐るべし!
第3部ではイベントのハッシュタグ「#tbwp0922d」でツイートしている人を紹介するコーナーがあった。映画上映終了後だったので、お気に入りのシーンをツイートしてもらって、そこについて話を広げていくという趣旨だったのだが、会場のモニタに「#tbwp0922d」のツイートを表示した瞬間、ものすごい勢いで流れていくタイムライン。
も、もうなにも読めない! 森田も「虎徹と友恵さんの回想シーンがかなり上がっていたと思います、僕の動体視力によると」と、なんとか感想を読もうとするものの、さすがに不可能なため、コーナーは急遽終了。
このコーナーの司会を務めていた楠大典も、「企画倒れだよ!」と突っ込んでいたが、かえって「タイバニ」人気をアピールするという、まさに怪我の功名。
楠は「はやすぎて読めない!」と言いつつ、ステージの上からツイートするなど、かなりお茶目だ。
あとから、ツイッターのHOTワードを調べたら、9月22日14時台はほぼ「#tbwp0922d」で独占。特に14時50分、「ツイート数:7,259」というとんでもない記録をたたき出していた。
休憩時間中、客席に聞き耳を立ててみた。
「ほんとよかったですね!」「今日はどこから来たんですか?」「泣いちゃったよ~」「叫びまくっちゃった。うるさかったらごめんね~」
さっきまで他人同士だったお客さんたちが、時間が経つごとに仲がよくなっている!
「東京国際アニメ祭2011秋」で、株式会社サンライズ専務取締役の宮河恭夫が「タイバニ」人気について、こう語った(エキレビ!たまごまごさんのレビューより)。
〈視聴者は一体感を求めているのではないか、共有したいのではないか〉
〈好きなものの確認作業にも近いです。特に震災以降、シェアする一体感を求めていたのではないか〉
「タイバニ」最終回25話のUstream視聴者数は9万3千人。Ustreamはテレビを観ながらツッコミを入れる感覚で、ツイッターでつぶやくことができる。
テレビシリーズ放送期間中の2011年6月~9月。「#tigerbunny」がHOTワードハッシュタグ1位を獲得したのには、ちゃんと理由があった。
おれは、こういったアニメ系のイベント、ライブなどに行くことはほとんどない。「プリキュア」シリーズのミュージカル、コンサートくらいだ。レビューにも書いたように、演者、スタッフたちの本気度がすごくて、大人が観ても感動する。本気度で言えば、この「タイバニ」と変わらない。
でも、「プリキュア」のメインターゲットは、やっぱり女児だ。大人の方向は向いてくれていない。「プリキュア」が大人の方を見ていない、子どものためにつくっているからこそ、大人であるおれがはまるのであって、そこは矛盾なんだけど(だからこんな本もつくってしまった!)。
「タイバニ」は、公式サイドが「さあ召し上がれ」と、ファンに向けて100%のものを提供してくれている。その、ファンの満腹感の違い、みたいなものを、少しうらやましく思ってしまったのだった。
「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」の上映終了後、第2弾タイトルの発表があった。
2013年秋公開予定の「劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-」だ。ファンは、まだまだこれからも、満腹でいられそうだ。
(加藤レイズナ)