昨年に引き続き今年2012年も、白衣姿の5人の嵐先生が光臨。コンサートとはまったく異なるイベント、「嵐のワクワク学校2012~毎日がもっと輝く5つの授業~」。
7/31福島でオーラスを迎えたこの企画の、開催初日・東京公演をレポートします。

東京ドームにて6/16、17の2日間 3公演、京セラドームにて7/14、15、16の3日間4公演がまず発表された。きらびやかな演出を多用する通常のコンサートとはまったく趣向を変え、電力消費をおさえることを前提として実施される。そして、昨年同様の東京大阪の2会場に加え、今年は6/24に宮城、そしてオーラス7/31に福島にて、無料招待での“課外授業”が行われた。

「ワクワク学校」は、完全に学校設定。コンサートに参加することを「登校」「出席」と言ったり、グッズ販売所でも「大野くんのクリアファイルひとつください」と言うと「大野先生のクリアファイルがおひとつですね?」と確認がされる徹底ぶりだ。


ドーム内部の壁面には、嵐のメンバーをヒゲやシワでデフォルメした歴代校長5人の肖像画と、嵐本人たちによって筆文字で書かれた「日々是気付(ひびこれきづき)」のプレート(日=相葉、々=大野、是=松本、気=櫻井、付=二宮)。肖像画や字体など中身は違えど昨年とまったく同じ構成の装飾だ。グラウンド中央にステージ、スタンドは360°客席。メンバー5人が順番に、白衣を着て先生となり授業、それ以外の4人と客席が生徒になる。

■一時限目:二宮先生「カチカチ」の授業
頭がカチカチになっていないか?という、「先入観」をテーマにした授業。例えば、くぼみが取っ手になっているのが一般的である“引き戸”にドアノブをつけて、生徒の相葉に開けさせてみる。
やはり前後に引いたり押したりとがガチャガチャしてしまいスムーズには開けられない。
「現状維持バイアス」とは、何かよほどの強い理由がない限り、状況を変えようとせずに、今のままでいいだろうと思い込んでしまう先入観のことだ。何度も買い物しているのにクローゼットは同じような服ばかりだったりしたら、思い切って違うテイストの服を買ってみるなど、まずは身近なことから先入観を取り除いてみる。そうすることで何か新しいことが見えてくるかもしれない。
「よーいドンと言ったらスタートしてね」という前置きつきで、「よーいドン」と言わずにピストルの音でスタートさせてしまうひっかけ問題をからめつつ、ドームを一周する4人のリレーも行われ、盛り上がりを見せた。着席で観覧し、ペンライトをふることもない、このおとなしいイベントで、唯一名前を叫んでキャーキャー言える時間だ。

二宮先生のまとめ=【先入観を取り払い、可能性のドアを開けよう】

■二時限目:櫻井先生「ゴクゴク」の授業
水について。シャワールームのセットが登場し、水に濡れないようカッパを着た松本が、いつもと同じペースでシャワーを浴びてみる設定に。それに使用する水は、ステージの周囲にあるプールからバケツでくんできて、シャワールームの天井までのぼって上から給水するシステム。単位を、バケツ1杯=1アラシとし、松本がシャワーを浴びるには何アラシ必要?という実践授業。水を入れて運んでくる係と、シャワー口にそそぐ係とに自然と役割分担がされ、この日は二宮が人一倍走り回り、大汗をかいて顔を真っ赤にしてバケツを運び続け息を乱しての大仕事だった。
地球にある全水分のうち、海水が97.5%で淡水は2.5%、そのうち人が利用できる水は0.01%と、お風呂にたとえたら大さじ1杯程度になる。
日々の生活で水は絶対に必要で、水がなくなったらどれだけ大変かということを学んだ。
櫻井先生のまとめ=【シャワー1回=18アラシ】

■三時限目:相葉先生「パクパク」の授業
相葉先生のみ昨年と同じテーマで、食について。「相葉寿司」のセットが登場し、へいらっしゃい!と元気よく4人を招き入れる。ご注文は?の問いに「ハンバーグ!(二宮)」「ハヤシライス!(大野)」「もりそば(松本)」「麻婆豆腐(櫻井)」と好き勝手にふざけるメンバーを軽くうけながして、実際に銀座で修行してきたというにぎり寿司をふるまう相葉先生。
そこでそれぞれネタについてのクイズを出題。例えば「マグロが卵からかえって大人になる確率は?A.100分の1/ B.1000分の1/ C.1万分の1/ D.1000万分の1」→答えはD.1000万分の1。
その確率はジャンボ宝くじ2億円に当選するのと同じ確率であって、私たちが日々当たり前に食しているものは、奇跡的で貴重な食材であるということ。これから食事をする時は、どんな場所で、どんな人が、どんな想いで作ったものかをよく考えてみよう。
相葉先生のまとめ=【ごちそうさま ありがとう】

■四時限目:松本先生「ソモソモ」の授業
今回一番の衝撃であった松本先生の授業。「そもそもそれって何なの?」という、ものごとの由来を追求していく授業。ロケVTRが流れるが、なんと松本先生本人が、実際に「命のソモソモ」に立ちあうというもの。これは衝撃。
アイドルが一般人の出産に立ちあうという映像が公開された。助産院で臨月の夫婦にインタビューをし、数日後陣痛が始まると車でかけつけ、出産の瞬間を間近で見届けた。無事子どもは生まれ、名前がつき、一見王道で感動的に終わったVTRだったけれども、あまりに驚きの内容で終始ザワつく会場。「もし自分だったら松潤に立ちあい許可する?!」「ムリムリ絶対見てほしくない!」とファン同士で妄想会話が始まったりと、コンサートとはまた違うドキドキ感のある授業となった。
また「メンバーのソモソモ」ということで、大野の母親に行ったインタビュー内容が紹介される。「智」という名前は好きな芸能人(岸田智史)から取ったことや、小さい頃ケガが絶えずに自転車の後輪に足を巻き込んで15針塗ったエピソードなどが紹介された。
松本先生のまとめ=【ソモソモについて考えるとすべてが大切に思えてくる】

■五時限目:大野先生「ゲラゲラ」の授業
最後に、大野先生の本領発揮!たとえウソ笑いでも笑うことで脳が幸福感を感じるということで、謎のゲラゲラダンスを披露。ゲラゲ〜ラ♪ゲラゲ〜ラ♪ゲラー!とキレのよいダンスで会場を笑わせた。また、即興でつくった「笑顔は大切」をテーマにした歌を披露したりと、踊って歌っての大盤振る舞いの授業に。
人間は笑う動物なんだから、たくさん笑って健康で幸せになって、「笑われるなんてへっちゃら」って思うくらいチャレンジしよう。
大野先生のまとめ=【笑いとは、人間だけが持つステキな才能】

こうして5限分の授業が終了すると、昨年同様、ワクワク学校の校歌を会場全員で合唱。これは、紅白歌合戦でも披露した、小山薫堂作詞の「ふるさと」に、嵐が作詞した2番を加えたもの。大きなトロッコに乗ってスタンドぎりぎりまで近づいてのファンサービスで終わった。「もっと来い!騒げー!」と挑戦的なコンサートとは違い、相葉「今夜のドラマ間に合わないなぁ〜!(当時放送中だった相葉主演ドラマ)」櫻井「来週から見てねー!」大野「ウソ笑いでもいいよ〜」と、ほんわかと投げかけるようなメッセージ。コンサートで感じる「キラキラアイドルとファン」という圧倒的距離感とはまた違う、みんな一緒の仲良し感、ほっこりやさしい家族感というのもこのイベントならではの感覚だ。

電力が使えないからコンサートを取りやめるのではなく、なんとか楽しませるからみんな集まって!という、ファンへのサービス精神と、感謝の気持ちを忘れない嵐の謙虚さが詰まったこの「ワクワク学校」。電力事情と被災地の復興状況次第では、今後も恒例となるかもしれない。(夏トマト)