やりすぎると勉強の妨げになるし、目も悪くなる、おまけに、内容次第では情操教育的にも良くない……。

そんな理由により、いつの時代も、世の大人たちから眉をひそめられ続けるコンピューターゲーム。
しかし、今から20年前に登場した『Dance Dance Revolution(ダンスダンスレボリューション)』は、「プレイすればするほど、ダイエット効果が期待できる」との触れ込みもあり、当時、一大ブームとなったものでした。


オトゲー黎明期の象徴的タイトルだった


『ダンスダンスレボリューション』通称「DDR」が誕生した背景には、90年代後半、ゲーム業界に突如として巻き起こった「音ゲー(音楽ゲーム)ブーム」の存在があります。ブームの先鞭をつけたのは、ソニー・コンピュータエンタテインメントの家庭用ゲームソフト『パラッパラッパー』と、コナミの『beatmania』。特にコナミは、この『beatmania』のヒットを皮切りに、『drummania』『GUITARFREAKS』『KEYBOARDMANIA』と、さまざまな音ゲーを展開し、その中の一つとしてDDRを世に送り出したのでした。
今も新バージョンが稼働中の「ダンスダンスレボリューション」 90年代のDDRブームを振り返る
画像出典:Amazon.co.jp「Dance Dance Revolution 2nd

DDRの特徴は、何と言っても、プレイヤーの真下に設置された「フットパネル」と呼ばれる特殊コントローラーを使用するところ。上下左右の矢印が描かれた足元のプレートを、プレイ画面の上から下へと流れてくるアイコンに合わせてタイミング良く踏むという「足で操作するゲーム」であり、手先の器用さではなくフットワークの良さが求められます。しかも、1曲終了ごとに消費カロリーも表示してくれるので、エクササイズにも最適でした。



扱いづらかった家庭用フットパネル


こうした斬新さがウケて、1998年にゲームセンターで爆発的人気を博したDDRは、翌1999年に早速プレステ版の家庭用ソフトとして再リリース。同時に例の「フットパネル」も、別売りで販売されました。筆者も当時、ソフトとフットパネルを両方購入したクチ。これで家にいながらゲーセン感覚が味わえる……。そんな期待に胸を膨らませたものです。

ところが、この家庭用フットパネルがなかなかの曲者。
・ペラペラな素材のためプレイ中にズレる
・何度も使うとクシャクシャになって汚くなる
・表面に貼られた透明なビニールの保護シートが経年劣化のせいかベタベタしてくる
・単純に反応が悪い
などなど、さまざまな難点を抱えていました。


加えて、集合住宅でプレイすると、足音で下の住人に迷惑がかかるといったデメリットも。一応、衝撃吸収用のマナークッションや、クッション内蔵型のDX(デラックス)コントローラーも発売されましたが、それでも、苦情を恐れて、忍び足みたいに静かなステップを恐る恐る踏むことしかできず、ゲーセンの興奮とはほど遠い不完全燃焼感を味わったマンション住まいのプレイヤーは、おそらく筆者だけではなかったことでしょう。


最新作は2016年から稼働


作中のダンスナンバーとして採用された楽曲『Butterfly』が一躍流行歌になるなど、周辺コンテンツも注目を集めたDDRでしたが、2000年代に入るとブームは次第に沈静化。毎年続いていた新タイトルのリリースも2002年で一旦途絶えました。
しかし、国内外のファンからの根強いニーズにより、ちょくちょく新作が発表され続け、最新作は2016年にアーケード版として登場した『Dance Dance Revolution A』。また、コナミが意匠権の侵害として提訴したことでも知られる(後に和解)韓国製の類似品『Pump It Up』も、1999年の登場以来バージョンアップを続け、日本のゲーセンでも最新版がプレイできるようです。


筆者含め、かつてのDDR直撃世代ももういい大人。下っ腹が気になり始める年頃です。そんな同世代で集まって飲み会でもした帰りには、ゲーセンに立ち寄って、ちょっと運動がてら、懐かしみを込めて一踊りするのもアリかも知れません。
(こじへい)