今回記事でご紹介するのはタレントの黒柳徹子が1981年に発表した自伝小説、『窓ぎわのトットちゃん』のあらすじです。
本作は第5回路傍の石文学賞を受賞し、総発行部数がギネス世界記録に認定された名作。
かつて目黒区自由が丘に実在したトモエ学園を舞台に、反戦のメッセージを盛り込んで、子供たちの成長を瑞々しく描きました。
2023年には八鍬新之介監督によりアニメ映画化され、大ヒットを記録しました。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『窓ぎわのトットちゃん』のあらすじ
トットちゃんは音楽家の父と優しい母を持った、裕福な家庭の女の子。
本名のテツコを舌足らずに呼んだのがあだ名の由来です。
トットちゃんは落ち着きない性格が災いし、学校で問題児扱いされていました。
彼女の席は窓際なのですが、ちんどん屋が通りかかるたび大きく手を振って呼び止めるので、しばしば授業が中断されます。

他にも担任の注意を無視して机の引き出しを開け閉めしたり、じっとしていることができません。
結果、小学一年の途中でやめさせられてしまいました。
両親は集団行動が苦手な娘の為に新しい学校を探してきました。
それは自由が丘にある私立トモエ学園で、全校生徒はわずか50人だそうです。
しかも敷地に置かれた廃車両が学び舎に改造されており、転校初日のトットちゃんは大はしゃぎ。
校長の小林宗作先生は初対面のトットちゃんの話に4時間以上付き合い、「君は本当はいい子なんだよ」と言ってくれました。
両親以外の大人に初めて褒められ、自分は悪い子なのではないか、と悩んでいたトットちゃんの心は救われました。
トモエ学園の授業の仕方はユニークで、1学年の人数は10人程度に定められ、好きな科目から勉強するのが許されています。
早く課題を終えれば余った時間で遊べるので、子供たちはよそ見をせず、真面目に勉強しました。
お寺や川に遊びに行って自然と触れ合い、地域の人と交流するのも大事だと先生は言いました。
障害児や病気の子を積極的に受け入れ、健常児と区別せず教えるのもトモエ学園の特色でした。
小林先生は平等の理念を掲げ、教師が不適切な発言をした際は語気を強めて叱責するなど、指導を徹底しています。
ある日の休み時間、トットちゃんは小児麻痺の同級生・泰明ちゃんを木登りに誘います。
泰明ちゃんは勇気を出してトットちゃんの木にお邪魔し、二人で楽しい時間を過ごしました。
かたや戦争は激化の一途を辿り、トモエ学園に向けられる世間の目は厳しくなっていって……。