韓国でパソコンを手に入れ、しばらく経った後に気がついたのだが、画面上に新しいフォルダをつくると、ハト・アヒル・フクロウ・キツツキといった様々な鳥を表す韓国語が、自動的にフォルダ名となっていることが多いのである。
もちろん私のパソコンだけが特別なのではない。
外で誰かのパソコンを借りても、同様な名前のフォルダがデスクトップに並んでいたりする。

「新しいフォルダ」「名称未設定フォルダ」といった無機質な名前よりは、かわいらしくて良い気がするけれど、一体これは何なのだろう。もしや何かの陰謀なのでは? などと妄想してみたり。

ネットで検索すると簡単に答えが出た。これは、韓国における解凍・圧縮ツールのシェアのうち87.8%を占める(※)人気ソフト、「ALZIP」のおまけ機能によるもののよう。なおALZIPは、私のパソコンにもダウンロードされている。


「パソコンにALZIPをダウンロードすると、マウスの右クリックメニューに、『新しいフォルダ』メニューが追加されます。これにより、2度のクリックで簡単に新規フォルダを作成できるようになります」と話すのは、ALZIPを提供するソフトウェア会社「ESTsoft」。確かに私もこの機能を使っているが……。
「韓国語で『セ(=新しい)フォルダ』と言えば、同音異義語である『セ(=鳥)フォルダ』を連想します。機能に楽しさを加える意図で、新しいフォルダが鳥のフォルダとなるようにしました」とのこと。なるほど、これは単なる駄洒落だったのだ。


ESTsoft社によると、現在登録されている鳥の名前は約40種類。新規フォルダがさらに増えた場合のフォルダ名は、韓国語で「新しいハト」というように、頭に「セ(=新しい)」という文字が加わる。
それでも鳥の名前がなくなった場合、どうなるのか? ここからが同社の意地の見せ所なのだが、韓国語で「どうかこれ以上作らないで」「ちょっと~」「お願い」「鳥の名前が底をついた」といった、いかにも困った感じのフォルダ名(韓国語)が現れる。こういうセンス、個人的には結構好きです。

このコネタに早くから気づき、自身のブログで紹介する韓国人ブロガーも多い。ユーザーからは「面白い」「ウィットがある」と、なかなか好評なのだそう。

また花や芸能人の名前など、ユーザーの好みで自由に設定できる機能もついているとか。

ちなみにALZIPは日本語版も提供されている。こちらにも右クリックで簡単に新規フォルダが作れる機能がついており、この場合のフォルダ名は日本語で、「かもめ」「わし」など鳥の名前となる。
鳥の名前以外にも、作成した年月日がフォルダ名となる機能が日本語版には追加されていたり、韓国版にもあるフォルダ名をカスタマイズできる機能も用意されている。
もちろんALZIPのメイン機能は解凍・圧縮にあるのだけれど(無料ダウンロード可)、このおまけ機能はちょっと楽しいかも。

もし誰かのパソコンのデスクトップ上に鳥の名前のフォルダを見かけたら、これはコリアンジョークなのだと理解すると、世界が広がるかもしれません。

(清水2000)

※ESTsoftの資料による