スライムって最初のイメージはこんなのだったのかーーーーっ!
衝撃である。
いや、当然といえば当然か。


■ドラゴンクエスト制作資料がずらーっ!
『ドラゴンクエスト展』(公式)に来ている。
三部構成の展示のまんなか、資料編に足を踏み入れたとたん、わーってなって先にずんずん歩いてしまった。いやいやじっくり観なきゃって戻ったりした。興奮で一緒に来ている人のことを忘れてしまった。
何しろドラゴンクエスト制作資料がずらーーーーっと並んでいるのである(書籍化希望!)。

■手書きのオープニングストーリー
「ドラゴンクエスト」の最初に書かれたオープニングストーリーが展示されている。
ワープロやパソコンで書かれたのではない。手書きだ。堀井雄二さんの手書きだ。
偉大なる予言者ムツヘタは、いいました。
「やがて、この地のどこかに、伝説の勇者ロトの血を引く者が現われる。
その者が、竜王を滅ぼすであろう」と。

なんて書いてある!
「ドラゴンクエストI」本編にはムツヘタは登場していないはずだ。カタカナのツが使えないから。

■ホイミはホーミになったかもしれない!


初代『ドラゴンクエスト』の容量は約64キロバイト。ケータイの待ち受け画面1枚分にも満たないサイズだ。そこにプログラム、メッセージ、音楽、冒険のすべてを収める必要がある。
だから、使う文字も制限された。
漢字は使わない。ひらがな69文字(濁音20文字)、カタカナ18文字(最終的に20文字)だ。

『ドラゴンクエスト』メッセージ用辞書、カタカナ表示の作成資料の展示もある。
“徹底的な圧縮化が図られた。文字数が少ないため、呪文の名称の「ホイミ」を「ホーミ」にして「イ」の文字すら削減しようとしていた形跡も見られる”

■地形パターンのバリエーション
「地形パターンのバリエーション」の展示にも見入った。城、山、草原といった小さな地形パネルをしきつめてマップを作る。

初代『ドラゴンクエスト』の地形パターンは、21。地上は13種類だ。その組み合わせですべての世界を描く。
展示では、地形パターン指定の手書き資料と、ドット絵の地形パターンが並べられている。

■スライムが!スライムが!
そして、堀井さんが、モンスターやキャラクターを指定している資料も公開されている。「ちょっと恥ずかしい昔の資料も掘り起こして渡した」と言ってたのは、このへんのことかなーと想像してニヤニヤ。

こどもが描いた落書きのような絵で、そのことにも感動する。
スライムは、どろどろのヘドロだ。目も口もついていない。その指定をもとにして、鳥山明さんの手によって、あの有名なドラゴンクエストのスライムが誕生したのだ。
ゲームがひとりの手によってではなく、何人もの人の協力で作られていくさまが垣間見える。

■『誕生25周年記念ドラゴンクエスト展』
会場は大きく3つに分かれている。

「第1章 伝説の冒険」
「第2章 導かれし記憶」
「第3章 新たなる旅立ち」
さらには、「ルイーダの酒場」もあって、「マドハンドのハヤシライス」や「メダル王のちいさなメダルPIZZA」を食べたり、「エルフののみぐすり」「ホイミティー」を呑んだりすることもできる。

『誕生25周年記念ドラゴンクエスト展』、会期は2011年10月8日(土)から12月4日(日)。場所は森アーツセンターギャラリー。
11:00~22:00金・土・祝前日は23:00(入館は閉館30分前まで)と、開館時間が長いのも嬉しい。
くわしい開催情報は、公式サイトで。

11月創刊の『グランドジャンプ』で「オススメ! たこつぼ教養講座(仮)」という連載をはじめる。第一回目のテーマは『ドラゴンクエストとアイデア』にした。だって、もう、わくわくとまんなくて、ドラゴンクエストのことしか考えられないんだもん。
あっ、いま出てる『ユリイカ2011年10月号』特集=現代俳句の新しい波に俳句新作10句発表していて、そのうち3句がドラクエの句です。どんだけ、おれドラクエ好きなんだよッ。
ってわけで、これからゲームボーイカラー『ドラゴンクエストI・II』をプレイします!(米光一成)