「やおい穴」について考えるイベントが行われた。登壇したのは金田淳子、岡田育、二村ヒトシ
会場の五反田ゲンロンカフェは超満員(9割が女子)。BL方面とAV方面の両方からやおい穴を探っていく。
「やおい穴」とは、BL(ボーイズラブ)にお馴染みの単語(なんのことやらわからない方は検索してください)。

イベントは三部構成。
第一部「我々はいかにしてアナルまで到達したか?」
第二部「それでは『やおい穴』とはいったい何なんだ?」
第三部「さあ、そろそろ自分のアナル開発に興味津々ですよね?」
登壇者たちの穴との出会いから、最近の開発事情まで、三時間穴づくしだ。
エキレビ!では、主に第二部についてレポしますぞー。


やおい穴と一言でいっても、腐女子によってスタンスはさまざま。完璧にファンタジーと考える人もいれば、現実と同様に考える人もいる。金田がやおい穴の歴史を説明する。

・70年代 穴不明(不在?)時代
『風と木の詩』など、いわゆる「少年愛」と称されていた時期。局部には何も描かれていない。

・80年代 穴の発見(明言)
JUNE神・栗本薫が『真夜中の天使』などで穴の存在に言及。
ただし栗本メソッドは「痛いだけの穴」。

・90年代 前立腺の発見
だんだん現実と近付く。ただし、一瞬で拡張され、初回から気持ちよく、血も出ないのがスタンダード。

・00年代 三次元(ゲイビデオなど)に学ぶ
前準備の描写など、三次元におけるリアルな手順を取り入れるものも出てくる。

白くぼんやりとしていた描写から、だんだんと詳細に描かれるようになっていき、現在は三次元に近づきつつあるやおい穴。この進化の歴史と「修正」は切っても切れない関係にある。
金田の本棚から、修正の歴史(も学べるオススメBLリスト)を一部紹介しよう。

よしながふみ『愛とは夜に気づくもの』…身体を横向きで描写。局部は描かない。
草間さかえ『はつこいの死霊』『王様のベッド』…絵がおしゃれすぎてやってることがごまかされる
野火ノビタ『HAPPY UNDER LIFE』…モザイク
門知かおり『生徒会長に忠告』…台詞・モノローグで股間を隠す
阿仁谷ユイジ『刺青の男』…擬音語・擬態語・液体で勝負
Guilt|Pleasure『In These Words』…ライトセーバー状に白抜き
倫敦巴里子『或るミステリ作家とその担当編集にまつわる記録』…輪郭に蛍っぽい光を散らす(風流)
中村春菊『純情ロマンチカ』…引きのショットでは攻の手などで股間を隠し、ズームアップのコマで結合部を書く

「攻の手が拡大化していったのは受の股間を隠すためなのでは?」「その勢いで肩幅も大きくなった」という説も飛び出した。はっきりと書くわけにはいかない局部のボカシが、さまざまな表現形式や無限のファンタジーを生んだのだ。

ア、ナルほど~。
とうなずいてばかりの今回のイベント。cakesで詳細に記事化される(2月の中頃予定)。腐女子も開発男子もそうじゃない人も、やおい穴会議に参戦しましょう!
(青柳美帆子)