ところで、そのプロ棋士たちの特徴は将棋が強いだけではないのに最近気づいた。それは「書道」の達筆なこと。色紙や扇子、著書などに座右の銘を書く機会を見るたびに、「うまい人が多いなぁ」と感心する。では、いったいどのような鍛錬をしているのか、日本将棋連盟に聞いてみた。
日頃、ボールペンや鉛筆、サインペンくらいしか使わなくなってしまった現代人。中にはパソコン、スマホで文字を打つだけという人もいる。
実際、筆ペンや本物の筆で書いてみるとよく分かるのだが、毛筆は硬筆とはまったく書き方がちがう。日々鍛錬しないと、思い通りにうまく字を書くことは難しい。
そんな棋士たちの書道の腕を向上させるための取り組みとして、東・西の将棋会館で書道部を設け、月に1回程度、外部師範を呼んで指導を受けているそうだ。そのおもなメンバーは以下の通り。
東:(部長)門倉啓太四段
(メンバー)
片上大輔六段(前部長)、佐藤紳哉六段、遠山雄亮五段、伊藤真吾五段、井道女流初段、山口恵梨子女流初段ほか
(開催場所)
将棋会館(東京)
西:(部長)村田智穂女流二段
(メンバー)
浦野真彦八段、畠山鎮七段、安用寺孝功六段、斎藤慎太郎五段、西川和宏四段、高浜愛子女流3級ほか
(場所)
関西将棋会館
なるほど、若手、中堅棋士を中心に腕を磨いているわけだ。では、棋士の中でとくに「書がうまい」と言われている人は?
「東西にある書道部では、浦野真彦八段、井道千尋女流初段という名前が挙がります。
書を連載していたとはすごい、本格的だ!
棋士が書いた有名作品を観賞できるような施設があればいいのだが、残念ながらそのようなものはない。その代わり、日本将棋連盟が販売しているオリジナル扇子があるので参考にしてもらいたい。
筆者のような素人目から見ても、棋士の書道の腕前は相当なもの。やっぱり、ファンが将棋の強さだけでなく毛筆でキレイな字を書いてくれることを期待しているのも、“書の向上心”につながっているのだろう。
「うまい、というのは人によって感じ方が違うのでとても難しいのですが、棋士は指導対局とともに色紙を所望されることも多く、座右の銘などをできるだけファンの方に喜んでいただけるように揮毫していると思います」(将棋連盟)
棋士が下手な字を書くことは考えられません!
(羽石竜示)