〈「良い天気だねえお父さん」「そうだな息子」「ところでお父さん」「何だい息子」「実はお願いがあってさ 最近パチンコにはまってさ 借金までしちゃってお金がないわけよ しかも彼女が子供堕ろしたいらしくてね それでお父さんにお願いがあるんだよ …こんなダメな息子とは縁をきって下さい…」「ダメだ 絶対にダメだ」「…あはは ダメかぁ …ダメかぁ ……………」〉
──ダメ息子とお父さん https://twitter.com/shimure_arusen/status/429338564229226497

『史群アル仙作品集 今日の漫画』が10月10日に発売された。史群がTwitterで投稿していた1ページ漫画「今日の漫画」を書籍化したものだ。
手塚治虫を思い出すような懐かしい絵柄、さみしい雰囲気、「つらい!」と叫びたくなるストーリー。Twitterで何千・何万とRTされた。
作者は1990年生まれ。小学校のころに「自分の手で昭和の漫画の画風を現代へと引き継ぐ」ことを決意したのだという。

〈今年の2月。ツイッターにて1ページ漫画「狂人になりきれない男」を投稿した直後、RT数はあっという間に何千になり、たった一晩で200もなかったフォロワー数がその何倍にも膨れ上がって、何が起こってるんだ?!と一瞬、混乱しました。
夢かとも思いました。しかし、それは夢ではなく、ついに本となりました。皆さんの協力と、応援のおかげです!〉(書籍のあとがきより)

書籍は、Twitterでの1ページ漫画やイラスト、史群のサイトで公開している漫画が中心。でも、ネットで見ているときよりも「昭和感」が強い。
書籍は四六判の単行本で、表紙カバーには金色の箔押しが施してある。花布も金色だ。
中身はクリーム色の紙を使っているので、ちょっと古い漫画を読んでいるような気持ちになる。とても丁寧に作られた本だ。
出版したのはナナロク社。詩集や画集、写真集やエッセイ集を中心に出版していて、大手の取次(日販・トーハンなど)と直接取引をしておらず、地方小出版流通センターを介して卸をしている。にもかかわらず、発売から1週間で増刷が決定。累計1万部が印刷されている。


〈「今日も良い天気 小鳥さんおはよう」「おはようヤギおさん」「お花くん喉かわいただろう」「ありがとうヤギおさん」「皆に愛されて嬉しいな だけど」(たった一人…あの人に愛されてないだけで…)「僕は… 毎日頭がおかしくなりそうなほど──孤独」〉
──「ヤギおさん」 https://twitter.com/shimure_arusen/status/504292957579526146

昭和の絵柄で平成のさみしさを描く史群アル仙『史群アル仙作品集 今日の漫画』(ナナロク社)。ヴィレッジヴァンガードやタワーレコードなどで取扱いがある(サイン本のある店舗一覧はこちら)。

(青柳美帆子)