先日、北海道南部・七飯町で小学2年生の男児が行方不明になった事件が、6日間に及ぶ大規模な捜索活動の結果、無事身柄を保護されて解決となりました。

父親が「しつけ」目的で山林に置き去りにした僅か5分後、忽然と姿を消してしまったことから、「現代の神隠しか?」などと騒がれた今回の騒動。
特に外傷などもなく発見されたことで日本中が安堵に包まれたのと同時に、不明男児の傭兵的素養も大きな話題に。たった数分で姿を消すステルス性能、ろくな食事も取らずに森の中を5日間歩き回れる体力と鋼のメンタルなど、7歳児とは思えないソルジャーっぷりが、ネット界隈で反響を呼んでいるのです。

ところで、謎多き失踪事件で思い出されるのが、今から25年前に起こった我修院達也(若人あきら)失踪事件。彼のことは40代より上の世代にとって「郷ひろみのモノマネ芸人」、ジブリフリークにとって「カルシファーと青蛙の声の人」、全盛期のめちゃイケを見ていた世代にとって「浜口優どっきりシリーズに出てた人」としてお馴染みでしょう。

防波堤へ釣りをしにいったまま、忽然と姿を消した我修院達也


そんな我修院達也が事件に巻き込まれたのは、まだ若人あきらと名乗っていた1991年のこと。この日、彼は家族・知人らと共に観光のため、熱海に来ていました。
午後3時ごろ。
「釣りに行って来る」と言い残し、一人、熱海港へと出かけていった我修院。そこから2時間後の5時ごろ。家族が防波堤まで迎えにいったところ、釣り竿、帽子、カバン、バケツが残されたまま、彼の姿が消えていたのです。

慌てて家族が警察へ届け出ると「波にさらわれた可能性が高い」として直ちに捜査を開始。この一件はマスコミでも大々的に取り上げられ、テレビ・新聞・ラジオで連日報道されました。

3日後、小田原市内の図書館で発見されるも…


かくして、モノマネ芸人から時の尋ね人となった我修院ですが、失踪から3日後、意外な場所で発見されます。どこかというと、現場から30キロほど離れた小田原市城内の図書館。

一体、この3日間どこで何をしていたのか……。当然、世間の注目が集まったのですが、当の本人は「記憶喪失」だと告白。診断した医師によると、頭を強く打ったことによる一過性の全健忘症とされ、結局全容は分からず仕舞い。大きなモヤモヤを残しながら、事件は一旦の解決となったのです。

売名行為説、北朝鮮による拉致説など…様々な憶測を生んだ失踪事件


本人の口から何も語られなかったため、一時は「売名目的の狂言ではないか?」とも囁かれました。「海に落ちた」「ガムテームで目隠しされた」と本人が証言したものの、その形跡が一切見られなかったため疑念を生んだのです。


さらに、2003年には雑誌週刊新潮が「北朝鮮による拉致未遂では?」とも報道。たまたま拉致現場を目撃してしまった我修院を、実行犯たちは口封じのため、一緒に拉致。
焦った彼は、自分が日本のタレントであることを伝え、自分がいなくなったらマスコミが大騒ぎすると主張したというのです。これを受けて犯人たちはしぶしぶ我修院を解放するも、「しゃべったらタダでは済まない」と脅したといいます。

本人はこの報道を「そんなこと、あるわけないじゃないですか」と即座に一蹴。しかしよく考えると、なぜ記憶を失っていたはずなのに断言できるのでしょうか? 今でも謎は深まるばかりです。

(こじへい)

※イメージ画像はamazonより金日成のパレード/北朝鮮・素顔の人々 [DVD]