一年中、ホタルをみれる場所がある
(上)ホタルたちの住む大型水槽。暗くすると水槽は見えず、ホタルの舞う姿だけがみえるので、より幻想的な空間に。(下)ホタルたちの光。ぜひ本物をみてほしい。
それは、今年9月23日、東武動物公園内にオープンした世界初の劇場型ホタル鑑賞空間、その名も『ほたリウム』のこと。気になってさっそく出かけてみた。


まずは、開園前のまだ室内が明るいうちに、ホタルたちのいる水槽を見せてもらうことができた。2m×2m×高さ3mの大きな水槽は、ホタルに適温の24℃程度に保たれていて、エサを与えてさえいれば、ほぼ永久的に繁殖していくのだという。ホタルにとって住みやすい自然環境が維持されているのだ。

水槽内には、葉っぱの裏などに隠れている成虫たちや、エサのタニシに集まる幼虫たちが! これまで明るいところでホタルを観るなんてことがなかったので、じっくりと観察。ここにいるホタルの種類はヘイケボタルで、幼虫は4回も脱皮するらしい。蝉同様に短い命だけど、一生懸命、輝いて終えていくんだ〜などとしみじみしてしまった。

さて、いよいよ鑑賞のとき。
鑑賞スタイルはというと、6人ずつ、3つの方角から水槽に向かい、全員が平等に観ることができる18人の定員制になっていて、所要時間は約15分。最初に、暗さに目をならすために暗室に入って解説を聞き、次にホタルたちが待つメインルームへと通される。何しろ暗闇なので、恐くて泣き出す子どももいるのだが、アトラクションのようなワクワク感があるし、より想像力が掻き立てられる。

そして真っ暗闇の中、ライトで照らし出されたわずかな光を頼りに席に着き、しばらくすると……、目の前がパーッと明るくなるのだ。なんと200匹以上のホタルたちが、光を放ちながら舞っている! 「うわぁーっ」という歓声があがったかと思うと、すぐにしんと静まりかえる。
みんな夢中でホタルに観入ってしまうからだ。成虫たちに加え、ときには幼虫や卵までもが、かすかな光を放つ。もうそれはそれは、すごい!の一言。まるで流れ星のように輝き、舞うホタルたち。自分でも、目の前に広がる幻想的な光景が信じられなかった。

ホタルの数があまりに多いため、鑑賞したお客さんたちから「偽物じゃないの?」なんて言われることもあるとか。確かに、そんな感想にも頷けるほどの圧倒的な数と光。もちろん自然の中でのホタル鑑賞も最高だけど、ここにはまた別の、初めて味わう驚きや感動がある。しかも一年中みれる空間なんて!早くもリピーターがいるらしい。(田辺香)
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