警察官の職務質問の解説本を読んでみた
先日、図書館で「注釈 警察官職務執行法」という本を発見した。
中身は平たくいってしまえば、法律で定められた警察官の職務に関して解説してあるもので、警察関係者や法律の専門家が読むような内容の本である。
パラパラめくってみると、さすが法律の解説書なので難しい用語・言い回しがたくさんある。でも、ちょっとガマンして読んでみるとこれがなかなかおもしろい。

あまり経験したくはないものだけれど、気になるのが職務質問の項目。いわゆる街角で警察官に呼び止められて質問される、というやつ。
警察官職務執行法では、「警察官は異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りうる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」とある。
それに対して、質問された側はどうすればよいか、といえば一般常識的に考えれば質問されたことに正直に答えるにこしたことはない、ということになるけれども、法解釈では「職務質問は任意活動なので相手方にこれに応ずる義務を課するものではない」としている。そう、警察官に質問されても無視してもよい、ということなのである。知りませんでした。答えなくでもよいんですねぇ。
でも、警察官も無視されたからといって、そのまま引き下がるわけもない。ということで、警察官も強制してはいけない、相手の承諾の元でという大原則の元、あれこれ手を尽くしてさらなる質問を浴びせる形になるようです。これがよくテレビの期首期末特番で放送される警察24時とかでおなじみのシーン。

今まで何であんなまどろっこいやり方をしているのか、と思ってみていたが、この本を読んで「なるほど」と納得。職務質問の際にはちょっと昔のサスペンスドラマのようにがっと腕をつかんだり、勝手にカバンを開けたりしてはいけないのである。

それともう一つ勉強になったのは、職務質問がわざわざ法律で規定されていること。
もともと警察官が職務を行うに当たっては、国民に質問することは個別の法律の根拠がなくても行うことができるとされている。何でわざわざ法律で職務質問を規定しているのかというと、これがちょっとややこしい。
約半ページにわたって、その意義について書かれているが、これを端折って言うと、法律で規定されていると警察官の質問は「公益上の質問が認められ、状況によっては、強制にわたらない限度における実力の行使を含む強い態用での質問も許される」とある。

強制にわたらない限度における実力の行使というのが、具体的に何をさすのかは、一般人の私には不明ですが、ちょっと強めの態度に出られるってことなのでしょうか。
自分の知らない世界をのぞいてみるのはおもしろいけれど、それにしても法律を正確に理解するのは難しい。ほんの数ページ読んだだけでぐったりしてしまいました。
(こや)
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