
これを読んでみると、「理科」の解釈のおおらかさにビックリするところが多々ある。
たとえば、「にわとりが、たまごをうむとなくのはなぜですか」。この問いに対しては、「ちいさなからだで、あんなにおおきなたまごをうむのは、にわとりもずいぶんほねのおれることでしょうね。(中略)『ああ、うれしい』 もし、にわとりにことばがあったら、きっとこんなことをいうでしょう」と、にわとりの気持ちを推し量った答えをしている。
にもかかわらず、「きは、きられてもいたくないのですか」には、「きや くさには いたいのをかんじるところがないのです。だから、はさみできられても、ひをつけられても、なんともないのです」とキッパリ。今のお父さんお母さんなら、「まぁ、なんてヒドイこと教えるのかしら!?」と怒り出しそうです。
また、「いもむしは、どうしてちょうになるのですか」の問いには、「もし、いもむしが、みんなちょうにならないで しんでしまったら、いもむしはこまります」と、答えになってるのかなってないのかわからない回答。
「てるてるぼうずで、あめがはれますか」の問いには、「さんた」くんという男の子のエピソードを用いて、「てるてるぼうずでは、あめをとめることができないのです」と、結局、夢ぶちこわしな返しをしている。
さらに、驚いたのは「にんげんのせんぞは、さるですか」。
これに対する答えは「さるは ねずみより りこうです。にんげんは さるより りこうです。
また、他にも、1968年1刷の『なぜなに理科2年生』(小学館)では、「小学二年生は、どのくらいねたらいいですか」「どうぶつで、いちばんはやくしぬのは、なんですか」などの難問を紹介。
ちなみに、現在、発行されている「理科」の本を見てみると、つくりは同じようでも、設問・解説がまったく違って、かなり現実的! 時代の流れを感じてしまうのでした……。
(田幸和歌子)