
誰がなんといおうと、コレは「スチロパール」。「発泡スチロール」なんて堅苦しい名前で呼んでられっかい。
長野は、東北弁や九州弁、関西弁などと違って、際立った「方言」がないせいか、私などは上京して10年も経つのに、いまだに「方言」と気づかず使っている言葉がある。
その一つが、「スチロパール」だ。
これまでもこの言葉を使うたび、なにやら周りが「くすくす」笑う気はしていたが、あるとき、友人に聞かれた。
「何ソレ?(笑) 何パールだって?」
「スチロパール!!(怒)」
ムキになるほどのことでもないが、私の中で、「もしかして長野だけ?」という不安がふいに生じてきた。
試しに、ヤフーで「スチロパール」と検索してみると、出たのはこんなカチンとくる言葉。
「スチロールではありませんか?」
違います。ちなみに、「スチロパール」でヒットした項目は52件(10月4日現在)。長野の方のリフォーム日記、「北信州net」、「長野県長寿社会開発センター」のほか、「ラボランドくろひめ 信州特産品」では野沢菜を「スチロパールで冷やしてお送りします」とある……って、長野ネタばっかりじゃん!
調べてみると、そのまんま「長野スチロパール株式会社」というところがあったので、電話をし、「『スチロパール』って、長野だけの名前なんですよね?」と聞くと、受付の女性はキッパリ言った。
「そんなことないですよ」
「え、でも、一般には『発泡スチロール』というらしくて……」
「……(しばし沈黙)え〜っっっ!!! そうなんですか!? アハハハハハ」
「そうらしいです、アハハハハハ」
なぜかともにバカウケ。長野スチロパール株式会社の人ですら、それが長野特有の名前ということを知らなかったようだ。
ところで、広報担当者に改めてお話を伺うと、長野スチロパールの創業は昭和40(1965)年。日本に発泡スチロールが入ってきたのが昭和36(1961)年というから、かなり老舗のほうらしい。
「スチロパール」はやはり登録商標で、由来は、「発泡スチロールをふくらます前の半透明の状態が、真珠に近い見た目なので、スチロール+パールから」という。
長野県の人のほとんどが「スチロパール」と呼ぶが、もしかして県内のシェアは100%?
「100ってことはないと思いますが、ピーク時は70〜80%ぐらいだったかも」
近郊の岐阜や新潟などにも出荷しているそうだが、長野県内のみでここまで浸透している理由は何なのか。
「もともとティッシュの『クリネックス』とか『ネピア』みたいなのを狙って、商品名をどんどん出していたんです。かつては県内のテレビの天気予報のバックでも流していたそうで、広告効果もあるんじゃないでしょうか」
また、長野市内の小学校の社会科見学も多く受け入れていたことも、老若男女にとって、馴染みのある存在となったようだ。
ところで、日本の発泡スチロール会社は「ピーク時は約220社」というが、今では約160社。
「長野工場の跡は、今は関連会社がそのまま建物を使って、スーパー銭湯にしてるんです。時代の流れですね」
工場が別のものに変わっても、私たちはずっとこう呼び続けると思います。「スチロパール!」
(田幸和歌子)
その一つが、「スチロパール」だ。
これまでもこの言葉を使うたび、なにやら周りが「くすくす」笑う気はしていたが、あるとき、友人に聞かれた。
「何ソレ?(笑) 何パールだって?」
「スチロパール!!(怒)」
ムキになるほどのことでもないが、私の中で、「もしかして長野だけ?」という不安がふいに生じてきた。
試しに、ヤフーで「スチロパール」と検索してみると、出たのはこんなカチンとくる言葉。
「スチロールではありませんか?」
違います。ちなみに、「スチロパール」でヒットした項目は52件(10月4日現在)。長野の方のリフォーム日記、「北信州net」、「長野県長寿社会開発センター」のほか、「ラボランドくろひめ 信州特産品」では野沢菜を「スチロパールで冷やしてお送りします」とある……って、長野ネタばっかりじゃん!
調べてみると、そのまんま「長野スチロパール株式会社」というところがあったので、電話をし、「『スチロパール』って、長野だけの名前なんですよね?」と聞くと、受付の女性はキッパリ言った。
「そんなことないですよ」
「え、でも、一般には『発泡スチロール』というらしくて……」
「……(しばし沈黙)え〜っっっ!!! そうなんですか!? アハハハハハ」
「そうらしいです、アハハハハハ」
なぜかともにバカウケ。長野スチロパール株式会社の人ですら、それが長野特有の名前ということを知らなかったようだ。
ところで、広報担当者に改めてお話を伺うと、長野スチロパールの創業は昭和40(1965)年。日本に発泡スチロールが入ってきたのが昭和36(1961)年というから、かなり老舗のほうらしい。
「スチロパール」はやはり登録商標で、由来は、「発泡スチロールをふくらます前の半透明の状態が、真珠に近い見た目なので、スチロール+パールから」という。
長野県の人のほとんどが「スチロパール」と呼ぶが、もしかして県内のシェアは100%?
「100ってことはないと思いますが、ピーク時は70〜80%ぐらいだったかも」
近郊の岐阜や新潟などにも出荷しているそうだが、長野県内のみでここまで浸透している理由は何なのか。
「もともとティッシュの『クリネックス』とか『ネピア』みたいなのを狙って、商品名をどんどん出していたんです。かつては県内のテレビの天気予報のバックでも流していたそうで、広告効果もあるんじゃないでしょうか」
また、長野市内の小学校の社会科見学も多く受け入れていたことも、老若男女にとって、馴染みのある存在となったようだ。
ところで、日本の発泡スチロール会社は「ピーク時は約220社」というが、今では約160社。
「長野工場の跡は、今は関連会社がそのまま建物を使って、スーパー銭湯にしてるんです。時代の流れですね」
工場が別のものに変わっても、私たちはずっとこう呼び続けると思います。「スチロパール!」
(田幸和歌子)
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