暴走族だらけ? 台北の不思議な交通事情
ご覧のとおり、台北の中心部は、「バイク天国」。いたるところにバイクがあふれかえっています。
台北の街を歩いて驚くのが、信号の場所ごとに見かける、横にズラズラ並ぶ信号待ちのバイクの人たち。

もちろん日本では禁止されている50ccのスクーターの“2ケツ”してる人も多く、「暴走族?」と最初は思ったが、これはフツウの「通勤」「通学」などの人だという。

台北にはバイクがすごく多く、スクーターの2ケツも、別に交通ルールに違反しているわけではないそうだ。
「3人乗りもけっこういるし、4人乗り、最高5人乗りまで見たことあるよ」と現地ガイドのおっちゃんも言っていた。

しかも、バイクの人たちは、自動車の間をぬうように、ものすごいスピードで走る。
さらに、歩道をぼんやり歩いていたら、2人乗りバイクに足をひかれそうになった。バイクの人たちは、歩道上をフツウに走っていることもあるのだ。台北の人たちにとって、バイクの存在は「車と同じ」でありながら「自転車とも同じ」感覚なのか。


また、路駐のバイクの多いことといったら、日本の自転車の比ではない。というより、中心地で自転車を見かけることのほうが珍しいかもしれない。
こんなにもバイクがあるのだから、当然ながら、町には「機車(バイクのこと。ちなみに自動車は「汽車」)」の看板が掲げられたバイク屋が無数にあり、驚くべきことに、夜もシャッターがおりてない野ざらしの状態だったりする。

日本のように「歩行者優先」で、車やバイクが待ってくれるわけでもないし、横断歩道では、信号機に数字と人のマークが表示され、数字はカウントダウンしていき、それにともなって、人のマークもかけあしの動きになっていく。どれだけせっかちなんだろうか。


このように、バイク主体で暮らしていて、その交通ルールはめちゃくちゃな台北だが、その一方で、どういうわけかMRTという地下鉄の中だけは、かなりマナーがきっちりしている。
改札をくぐると、一切の飲食が禁じられているのだが、ホームで電車を待つ間、ペットボトルのお茶を飲んだり、ガムをかんだりということが習慣になっている我々日本人にとっては、「何も口に入れられない」というのは、ちょっとしたプレッシャーでもある。

一貫してきっちりでもなければ、一貫してゆるくもない。この不思議なバランスはどういうものなのか? 交通事情だけでも、日本と似ているようで、違いの多い街である。
(田幸和歌子)