仏像は、釜風呂に入ったりするみたいです
こんな大きな釜で、仏像はきれいに洗われるそうです。ありがたいですね。募金もしましょう。
JR長岡駅前に、カワイイ2体の小坊主さんの人形と一緒に、大きな鉄製の釜が設置されていた。

直径1メートル以上、巨大な釜めし、もしくは大量の炊き出しができそうな、この大きなお釜、“募金釜”として設置されていて、木のふたのところから募金ができるようになっている。


気になったのは、その脇に立ててある立て札に書いてある文句だ。
「此の釜は お仏像さまを洗う ありがたい釜です」
洗う? 仏像を? お釜で?
仏像を「洗う」という発想がそもそもなかったが、こう書いてあるからにはそうなのだろう。

仏像は、洗ってお手入れするものなのか。
釜の設置者である、長岡市内の仏壇店、トーア仏壇株式会社にたずねてみると、
「お寺にある仏像は、年月がたつと、すすけてきますよね。そうなってきたときに、洗ってあげるんです」
やはり、本当に洗ってメンテするようだ。釜だからといって、いくらなんでもグラグラゆでるのではなさそうだが、洗うのは、基本的には「お湯で」。
また、こんな大きなのでなく、小さなお釜などでも、洗えるわけではあるが、
「大きなお釜で洗ったほうが、仏様にも失礼にならないでしょうし、やっぱり洗いやすいです」
とのこと。この長岡駅前の釜も、仏像を洗うために、実際に使われていたもの。その中には、町の小さなお寺の仏像もあれば、文化的価値の高い由緒あるものもあるそうだ。もしかしたら、見たことのある仏像も、この釜の湯を浸かっているのかもしれない。

こんな大きなお釜のお湯に浸かっている仏像の姿を思い浮かべると、ちょっとカワイイというか、微笑ましくなってくる。仏様は、ときどきお風呂に入ってるわけだな、要は。
ああ、さっぱりした、と。

ところで、仏像のメンテというのは、洗ってほこりやすすを落とすばかりではない。
トーア仏壇(株)によると、彫刻しなおしたり、塗り替えたりといったことも、行っているのだとか。
「あらゆるお手入れをやらせていただいております」
手入れをする頻度は、お寺などによってバラバラではあるが、常にどこかからの仏像がメンテにやってくるようで、なかなか“仏像風呂”も盛況みたいだ。

仏像が、ある日、ピカピカになっていたとき。それは、どこかで「釜風呂」に入っていたり、塗ってもらったりしているからのようです。
なんだか、エステ帰りみたいな状態でもあるが。
きれいになって、よかったね、仏様。
(太田サトル)

トーア仏壇(株)HP
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