カタツムリが真夏に天気予報!?
雨の日の我が家のカタツムリ。我が家のカタツムリも暗くなると動くようです
先日、シトシト雨の日に何気なく自宅の庭を眺めていると、カタツムリが木の枝を這っていた。
のんびり、ゆっくりと動く姿を見ているうちにふと疑問がわいてきた。

湿気がある今の時期はいいけれど、真夏になったらカタツムリはどうなってしまうのだろう。

そんな疑問を抱きつつ、ネットサーフィンをしていたところ三重県鳥羽市の鳥羽水族館で「カエルとイモリとカタツムリの天気予報」を行っているというニュースを見つけた。夏の期間だけのイベントでカエル、イモリ、カタツムリと湿度を読むスペシャリストを使って、朝9時、夕方4時の1日2回、飼育係が行動を観察して翌日の天気を予報するという。

昨年はカエルとイモリだけの予報だったが、今年はその予報にカタツムリも参入、天気予報は期間限定で6月1日から8月31日までとなっている。8月31日までということはカタツムリは真夏でも活動をしているということ?

それにしてもカタツムリはどうやって天気予報をするのか、これは話を聞かずにはいられない、ということでさっそく鳥羽水族館に問い合わせをしてみた。
「現在天気予報水槽の中にはカエル20匹、イモリ10匹、カタツムリ7匹を入れています。
カエルの場合は目を開けていたり、木に登るなど活発に動いていれば雨、じっとしていれば晴れ。イモリの場合は水の底の方にいれば晴れ、中ほどにいれば曇り、上陸していれば雨としています。カタツムリは、殻に入っていれば晴れ、出てきていれば雨です。そして曇りの判断がちょっと難しいのですが、7匹中1、2匹が殻から半分体がでていたりする場合に曇りとしています。観察は5人でやっているんですが、このあたりは人によって微妙に判断も違うんですよね(笑)」と飼育担当の玉置さん。

イモリ、カエル、カタツムリの行動から出された3つの予報は、実際に朝9時の鳥羽市の天気と合っていれば的中とのこと。
昨年度のイモリとカエルの的中率はどちらも平均で約45%とまずまずの成績。

イモリやカエルの天気による行動の変化は今までの飼育経験や文献などを参考にしているのだとか。ただ、カタツムリに関しては見た目や雰囲気で、とのこと。
「イモリ、カエル、カタツムリの天気予報の本来の目的は来館者の方々に身近な生きものを観察するおもしろさをお伝えすることです。予報に関してはお遊びの要素と思っていただければと思っています」

この天気予報、実際に来館者にも好評で人気のコーナーになっているのだとか。

「カタツムリは今年初めてなのですが、正直なところ、予報としてはつらいなぁという感じです(笑)。
予報を開始した当初は85%とすごい的中率だったんですよ。この時は晴れの日が1週間くらい続いてカタツムリは動かなかったんです……。でも曇り、雨、晴れ、とめまぐるしく天気が変わるとまるっきりダメですね。7日のうち1日くらいしか的中していません(笑)」

ところで天気予報は8月31日までだが、その間カタツムリは夏の暑さに耐えられるのだろうか。
「カタツムリは夜行性なので夜によく活動しています。晴れの日にはカタツムリは葉っぱの下などで殻の中に入ってじっとしています。
体の水分が蒸発しないように殻に膜を張ることもあります(夏眠)。そして雨が降るまでじっとその状態で待っているんですよ」

夜間は日中よりも湿度が高くなる。夜に活動するということはカタツムリにとっては恐怖の乾燥から身を守る手段の一つということか。薄暗い雨の日以外、あまりカタツムリを見ることがない理由がこれでわかった。でも玉置さんの言葉通りだとするとこれからの予報がちょっと心配にもなってくる。

近畿地方の向こう3カ月予報によると、今年の夏の気温は平年並みかそれよりも高いそう。
でも降水量の方も平年並みかそれよりも多そうなので大丈夫かも。いずれにしても7匹のカタツムリたちが無事に天気予報官の仕事を全うしてくれることを祈っています。
(こや)

鳥羽水族館HP
カエルとイモリとカタツムリの天気予報水槽*鳥羽水族館サイト内