このままいったら、いつか日本は亜熱帯?
こんなに暑くとも、まだまだこの国は「温暖湿潤」だそうです。
子どもの頃、社会科で「日本は温暖湿潤気候(または温帯湿潤気候)」と学んだとき、そんな日本に生まれることのできた幸運を、かみしめずにはいられなかった。
温暖で湿潤。
なんて優しげでステキなんだろう、と。

ところが、最高気温が都市によっては40度を超えてしまったりする近年、このまま温暖化が進んだら、そんな「温暖湿潤」を逸脱し、亜熱帯になってしまうのではないかという気もしてくる。

もともと沖縄は亜熱帯といわれるし、「夏の東京はもともとジャングルと同じ気候だった」という記事があったけど、この分だと、気候区分として、社会科で「日本は亜熱帯」と学ぶ日もくるのでは?

気象庁に聞いてみると、「気候情報課」が、まずこんな回答をくれた。
「基本的には、四季の変化のなかで、地球を熱帯、亜熱帯、温帯などに区分していますが、熱い熱帯の空気で覆われている日本の夏は、季節的な変動のなかではすでに『亜熱帯』といっても良い状態にあると思いますよ」
え!? 将来どころか、すでには日本は亜熱帯? と聞くと、こんな補足があった。
「ただし、夏は亜熱帯であっても、冬は寒くなるので、冬は亜熱帯ではないですよね。また、気候区分としては年間の温度と降水量がかかわってくるので、それはなかなか……」

では、季節の変動による状態ではなく、温暖化によって「気候区分」として変わる可能性は? と尋ねると、しばし検討した後、温暖化部署の担当者が回答をくれた。
「亜熱帯の定義がそもそも曖昧ではあるのですが……日本は夏は暑く、冬はかなり冷え込むのが特徴で、もともと夏のように暑くなりませんよね。つまり、季節変化が大きい国なので、年間を通して亜熱帯になる可能性はないと思います」

また、このまま温暖化が進んでも、100年後は現在と比較して、2〜3度程度上昇するだろうと予測されているため、「亜熱帯」にまではいかないのでは? ということだった。

ちなみに、これまで世界的に気候区分が変わった地域があったのかという問いには、
「それはちょっと把握してませんが……ここ100年で上昇した温度は、世界平均が0.7度といわれています。北極付近などはもっと変化が大きく、100年間で2度程度の上昇となっていますが、それを考えても、おそらく気候区分が変わるほどの地域はあまりないのでは?」
とのこと。

気候区分が変わる条件としては、雨量もかかわってくるが、これは地域差があるそうで、増えているのは高緯度のアジア、ヨーロッパ北部、アメリカ東部など。反対に、減っているのは、サヘル地域や地中海沿岸、アフリカで、日本はそれほど大きな変化はないということだった。


結論としては、世界地図における気候区分が、100年後に「亜熱帯」「熱帯」だらけになっている可能性は、まずないよう。

でも、こう毎日暑くては、もはや「温暖湿潤気候」の持つ響きのイメージが、変わっちゃいそうです。
(田幸和歌子)
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