
なのに今では、メダカ目ではなくなっていること、知ってますか。
『小学館の図鑑NEO 魚』(2003年3月刊行)を見ると、そもそも「メダカ目」というジャンルはなく、メダカは「ダツ目メダカ科」とある。
1999年2月に、「絶滅危惧種」の仲間入りをしたせい? でも、環境省のレッドリストに記載されたからといって、別の「ダツ目」に入れられるとは考えにくいけど……。
調べてみると、『おもしろくてためになる 魚の雑学事典』(富田京一・荒俣幸男・さとう敏/日本実業出版社)のなかに、こんな記述があった。
「観賞魚のグッピーやボウフラ対策で日本に移入されたカダヤシもメダカの一種と思われており、これらは一緒に何十年も『メダカ目』として分類されてきたのである。ところが80年代以降の分子生物学的解析によって、メダカと他の2者は類縁関係のない、“他人の空似”であることがほぼ判明したのである」
この本によると、「メダカ目」を背負って立っていたリーダーの「メダカ」のみが、本当はダツ、サヨリ、サンマ、トビウオの親類と判明し、「ダツ目」にヘッドハンティングされてしまったということらしい。
では、リーダーが抜けた「メダカ目」に残留する2種、グッピーとカダヤシの2種がどうなったかというと……なんと、看板をかけかえ、「カダヤシ目」に変わったという。これって、一種の出世だろうか。
実際、先述の図鑑を見ても、なんのことはなく、「カダヤシ目」としてグッピーもカダヤシも、ごくフツウに紹介されていた。
こういった現象は、生きものに関してはときどきあることで、他にも、「名前」と仲間の種目が違うものなどがある。
たとえば、「タイ」と名のつく魚は、日本近海に住むもので数十種、世界中で数百種もいるといわれているが、生物学的にタイと認められるものに関しては、「背鰭にトゲが11本ないし13本の種」を指し、臼歯がよく発達したマダイ、キダイ、クロダイ、チダイなど、ごく少数に限られるという(『おもしろくてためになる雑学事典』より)。
これは、「めでたい」とされるタイの縁起のよさにあやかって、いろいろな魚につけられたことが原因と考えられているようだ。
また、「カニ」と名がつく「タラバガニ」が、実はカニではなく「ヤドカリ」の仲間だということも、けっこう知られていることではある。
このように、図鑑をめくってみると、当たり前に仲間だと思っていたものが違っていたり、いつの間にか別の仲間入りしていたりするケースが、ときどきあって、実に楽しい。
読書の秋。皆さんも、図鑑で新しい発見をしてみませんか。
(田幸和歌子)
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