「今年は暖冬」とかって、いつ、どう決まるの?
ペンギンだって、「暖冬」と言われると、困っちゃいます。
「今年は暖冬」とか「今年は冷夏」とか聞くと、現状が暑い・寒いにかかわらず、心構えしてしまうもの。
でも、これっていつ、どうやって決まるものなんでしょう?

気象庁・予報部に聞いてみると、
「『暖冬』『冷夏』という言葉をうちで使って発表することはないんですよ」と担当者は言う。

じゃ、もしかしてマスコミ用語?
「そうですね。季節予報の発表の仕方として、全国を対象とした全般季節予報と、各地方を対象とした地方季節予報があります。気象庁では、気温が平年並みか、それより高いか低いかを確率をもって予想するだけ。その数値を見て、報道側が『暖冬』『冷夏』などと発表するんです」

気象庁では、季節予報として「1カ月予報」「3カ月予報」のほかに、「暖候期予報」「寒候期予報」というのを行っている。
「暖冬」や「冷夏」と発表するのは、この「暖候期予報」「寒候期予報」によるもので、「暖候期予報」は毎年2月25日頃、「寒候期予報」は9月25日頃に発表されるのだとか。
つまり、「暖冬」とか「冷夏」とかは、6カ月後ぐらいまで予報して発表していることになるのだという。


それにしても、どうやって半年後のことを予報するんでしょう?
「基本的には、スーパーコンピュータを用いた数値計算による予報で、明日や明後日の天気予報の手法と同じなんですよ。具体的には、『平年並み』と、それより『低い』か『高い』かの3つの階級に分け、それぞれの階級があらわれる確率として数値であらわします。これは、1971〜2000年の30年間の資料から各階級の出現率が等分になるように決めています。気象庁HPの『季節予報』の項を見ると、地方と予報期間別に数値が出てきますが、たとえば、ある地方で『40、30、30』という3つの数字がある場合、平年より低い確率が40%、平年並みの確率が30%、平年より高い確率が30%ということになるんです」
ちょっとわかりにくいけど……。ちなみに、どこかが100%になることはなく、気象庁としてはあくまで「確率」の発表だけで、「冷夏になる」とか「暖冬になる」とか断定することはできないのだという。
「ですから、報道ではこの3つの数字に関して平年値からの差をとって、地域平均を出し、検討します。
このとき、平年並みの数値から大きく離れている場合を『暖冬』とか『冷夏』としているのだと思いますよ」

ところで、気象庁の「予報」においてはこの言葉を使うことはないが、結果として振り返ったときに、「解説」として「暑夏」「冷夏」「暖冬」「寒冬」などの言葉を使うことはあるそうだ。
「それでも積極的には使ってませんけどね」

あくまで「暖冬」「冷夏」はマスコミが発表する言葉なのだそうです。
(田幸和歌子)