道路の案内標識の「地名」はどう決まる?
わが家の近く(神奈川県川崎市)にある案内標識。だいぶローカルな標識ですが……
道路を走っていると、そこかしこで目にするブルーの案内標識。最近はカーナビ頼みの人も多いかもしれないが、知らない土地でのドライブではやっぱり心強い味方だ。


ところで案内標識に書かれている「目標地」はどうやって決まっているのだろうか? たとえば写真の標識。川崎市中原区に設置されているものだが、直進方向には数キロ先の「川崎駅」が書かれているのに対し、右折方向の中原街道には数十キロも先の「茅ヶ崎市」が書かれている。

なんだかアンバランスな気もするけど、これって何か意味があってのこと? 国土交通省道路局に聞いてみると、
「基本的に目標値としては、あらかじめ定められている重要地・主要地などが表示されます」
実は都道府県ごとに表示する地名が決められており、国土交通省道路局のサイト内の『表示地名一覧表』でも確認できる。ちなみに重要地のほうが規模は大きく、主要地はそれに属する代表的な街の名前など。たとえば重要地の「横浜」には、「桜木町」や「新横浜」など14の主要地が属している。
「このほかにも駅や歴史的施設、観光施設、空港などは特別に表示されますね」

ちなみに表記する地名については、道路の性格や周辺の道路網などから判断して、臨機応変に決めているのだという。
「必ずしも最寄りの重要地・主要地を書かなければならないということもないですし、何キロ以内の駅は必ず表記する、といったような細かい決まりもありません」
写真の看板については、実は茅ヶ崎市に着く前に重要地である「横浜」を通るのだが、川崎から行くにしては、「横浜」という表記はあまりに漠然としすぎているし、横浜の主要地のなかには適当な地名がない。そのため、さらに先の茅ヶ崎市を記載しているのだろう。ちなみに同方向に2つの地名が書かれている場合、
「直進方向なら、左側が遠くの場所、右側がより近い場所を表しています」
とのこと。

日ごろ何気なく目にしている道路の案内板も、明確なルールを守りつつ、人々がわかりやすいように様々な工夫がなされている。あなたも街の看板をもう一度見上げてみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
(古屋江美子)

「表示地名一覧表」*国土交通省道路局サイト内
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