ドミニカのヤバいラテンダンス音楽「バチャータ」
常夏の国ドミニカ共和国。<br>お祭り用の衣装をまとったダンサー達
カリブ海に浮かぶ西インド諸島に位置する常夏の国、ドミニカ共和国に行ってきた。

カリブを旅すると必ず目や耳にするのが、音楽とそのダンス。
常夏の太陽と澄んだ空と真っ青な海がそうさせるのか、それともアフリカ系移民の血がそうさせるのか、彼らカリビアンの文化はいたって明るい。特に音楽はこれでもかってくらいご陽気で、バケーション気分は盛り上がりっぱなしになる。

昔はラテン音楽、ラテンダンスと言えば、田舎の野暮なものと見なされていたようだが、パーカッションが細かくリズムを刻み、アコーディオンやギターがゆったりとメロディーをのせるラテン音楽には根強いファンが多く、ラテンダンスは社交ダンスの競技種目として世界中に広まる。

訪れたドミニカは、19世紀中頃に誕生したラテンダンス音楽の代表の一つ、「メレンゲ」発祥の地。メレンゲの名前は、腰を左右に揺らせながら踊るステップが、お菓子のメレンゲを作る時の様子に似ているからそう付いたとか、諸説ある。

そのメレンゲを母体にし、20世紀初頭のアメリカ海軍占領時代に、ジャズやブルース等が融合した新しいラテンダンス音楽が次々誕生する。

その中でも1950年代の比較的若い生まれの「バチャータ(Bachata)」は、ドミニカのヒットチャート上位を独占する大人気音楽。2000年頃から続くラティーノブームでアメリカでもヒットし、世界的になった。我々も乗り遅れないようにちょっと知っておこう。

バチャータとは、「トラッシュ(ゴミ)」という意味のドミニカの地方スラングから名付けられたと言われる。都会のレストランや大きなホテル等で働く田舎から出てきた使用人達が、一日の長い仕事が終わった後の深夜、トラッシュ缶の集まる裏地等で、歌い踊り始めたものと言われているから、彼らの間では「パーティしよう」の意味になっていたのかも。

バチャータの特徴は、男性歌手があまーい声で伸びやかに歌うメランコリックなメロディー。
歌詞の内容も、片思いとか、失恋とか、ちょっぴり切ないものが多い。

もう一つは、超ホットなダンス。ぴったり引っ付いた男女が、波がうねるように左右に体を揺らせながらくねくね踊る。

それが超ヤバい。向き合った女性の股の間に、がっしりと男性の膝が割って入っている。見ているだけで熱くなりそうだ。でもすっごく洗礼されていて、全然イヤらしくない。盆踊りしか知らない私には、まだまだ修行が必要だと自覚した。

夜更けにふらりと立ち寄ったバーで、ラジオからバチャータが流れていた。女の子達はうっとりと聞き惚れ、ウェイターの男の子達はこっそりステップを踏んでいた。
仕事が終わったら、今夜もバチャータだぜ。ボニータ。

(チン・ペーペー)

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