「物価高倒産」、4月は過去最多の108件で急増傾向 今後は「石油危機倒産」発生の懸念も
帝国データバンクは、法的整理(倒産)となった企業のうち、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産した企業を「物価高倒産」と定義し、集計分析を行い、結果を公表した。

■「物価高倒産」が急増。
4月は108件で過去最多、前年比5割増 

燃料や原材料などの「仕入価格の上昇」を価格転嫁できない「値上げ難」などにより、収益性が悪化した「物価高(インフレ)倒産」が再び急増局面に転じた。

2026年4月における「物価高倒産」は108件発生し、前年同月(71件)から5割増となったほか、単月の発生件数としては集計を開始した2018年以降で最多を更新。2026年1~4月の累計でも346件となり、前年同期:295件を約2割上回るペースで、年間最多を更新する可能性も。

4月に発生した「物価高倒産」を要因別(重複含む)にみると、最も多いのは「原材料」要因の倒産で63件、4月全体の58.3%を占めた。

前年4月(30件・42.3%)から大幅に増加したほか、2025年3月(54.8%)以来1年1カ月ぶりに半数を超えた。次いで「人件費」(24件・22.2%)、電気・ガスなど「エネルギー」(16件・14.8%)と続いたものの、いずれの要因も前年同月に比べて割合が低下。

なお、足元で進む「ナフサ供給不足」による物価高倒産の発生は、5月13日時点で確認できなかった。

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「物価高倒産」件数推移

■「建設業」で8割増、資材高の影響大

4月の「物価高倒産」のうち、最も多かった業種は「建設業」で33件(30.6%)を占めた。前年同月(18件)から約8割の増加となり、単月として過去最多を更新。

建設業のうち、特に多いのは「総合工事」(20件)で、なかでも戸建て住宅や集合住宅などの新築施工を主体とする「木造建築工事」(12件)が多くを占め、木造建築工事における単月の物価高倒産としては、2018年の集計開始以降で最多となった。

また、建設業における物価高倒産の要因別集計では、鋼材や木材、コンクリートといった資材費の高騰による「原材料高」由来の倒産が23件を占め、全要因の中で最多。

足元で急速に悪化する「ナフサ供給不足」による影響は確認できなかったものの、従前から続いたウッドショックや物価高の影響による建築資材の価格高騰に加え、若手職人の不足と高齢職人の引退などが重なったことで現場作業員が不足し、外注費の高騰のほか「人件費増」による倒産もみられた。

次いで多かったのは「製造業」「小売業」(各20件)で、製造業では「食料品・飼料・飲料製造」(6件)が、小売業では「飲食店」(10件)が最多となった。


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業種別の発生件数

■5月以降「石油危機倒産」発生の可能性も 

足元では、中東情勢の急激な悪化に端を発した原油の不足や、ナフサ(粗製ガソリン)の供給不安から石油化学製品を中心に価格の高騰や在庫不足といった形で影響が顕在化。

4月時点ではナフサ供給難に伴う物価高倒産の発生は確認できなかったものの、今後、中東情勢次第では原油価格の上昇、そして物価高がさらに進むことも予想される。

軽油などの燃料が事業に欠かせない運輸業や化石燃料由来の資材を多用する建設・製造業にとっては特に影響が大きく、原油不足や石化製品の価格高騰による「オイルショック倒産」が5月以降に発生する可能性は十分にあると考えられ、今後の動向を注意深く見守る必要がある。

【調査概要】
集計期間:2018年1月1日~2026年4月30日まで

<参考>
帝国データバンク『「物価高倒産」の集計分析調査
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