原油価格が大きく上昇すると、まず家計に影響が出ます。ガソリン代や灯油代、電気代が上がり、車を使う人や冬場の暖房費が多い家庭では負担を感じやすくなります。


さらに、物流コストも上がるため、食品や日用品の値上げにもつながります。原油は生活のあらゆる場面に関わっているため、その影響は広範囲におよびます。

■原油高はなぜ起きる?
では、なぜ原油高が起きるのでしょうか。主な要因は「国際情勢」です。まさに、足元の中東情勢の緊張化は価格上昇の最大の要因です。そして、「需要」と「供給」のバランスが崩れた時です。

こうした構図は過去にも見られました。1970年代のオイルショックでは、中東の政治情勢をきっかけに原油価格が急騰し、日本でも物価上昇や買い占めなどが発生しました。当時と比べてエネルギー構造は変化していますが、中東からの原油依存体質は昔のままです。

「原油価格が上がると生活コストが上がる」という基本構造が、日本経済の根本にあります。

■資源を保有する企業は注目されやすい
こうした原油高への備えとして考えられるのが、資源・エネルギー関連の金融商品です。例えば、石油開発会社やエネルギー企業、総合商社などは、原油や天然ガス価格の上昇が業績の追い風になる場合があります。


日本株の中でも、INPEX<1605>や石油資源開発<1662>など資源権益を持つ企業やエネルギー事業に関わる企業は注目されやすい分野です。

また、個別株の選定が難しい場合は、原油価格に連動するETF(上場投資信託)であるWisdomTree WTI原油上場投信<1690>など原油価格や資源関連株に連動するETFを活用する方法もあります。ETFであれば複数の銘柄に分散投資できるため、初心者でも取り入れやすいのが特徴です。

■値動きの激しさはリスク
ただし、原油価格は国際情勢や景気動向に大きく左右されるため、値動きが大きくなりやすい点には注意が必要です。短期間で急騰することもあれば、急落することもあります。そのため、原油高対策としても資産の大部分を集中させるのではなく、一部にとどめるのが基本です。

重要なのは、「当てにいく投資」ではなく「備える投資」という考え方です。生活費の上昇リスクに対して、資産の一部が原油高の恩恵を受ける構造を作ることで、家計への影響をやわらげることができます。

分散投資を意識しながら、無理のない範囲で取り入れることが現実的な対策といえるでしょう。

文:田代 昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。

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