梅雨を彩る紫陽花(あじさい)は、しっとりとした趣と移ろう色で日本人に愛されてきた花です。ところが、その人気とは裏腹に「紫陽花は怖い花」「縁起が悪い」といったうわさを耳にしたことはありませんか。
今回はQ&A形式で、紫陽花にまつわる意外なエピソードをご紹介します。

■Q1. 紫陽花の花言葉は意外と「怖い」ですよね?
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A.「移り気」「冷酷」などの花言葉は、花の色が変わることに由来します。最近はプラスのイメージも広がっています。
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紫陽花の代表的な花言葉は「移り気」「無常」「浮気」。西洋でも「heartlessness(冷酷)」「You are cold(あなたは冷たい人)」など、なかなか手厳しい意味が並びます。これらはすべて、咲き進むにつれて色を変えていく性質から生まれたものです。

ただし、花言葉は国・時代・園芸品種の普及などで変化するため、固定的な意味ではありません。近年は、小さな花びら(ガク)が寄り添うように密集して咲く姿から、「家族の結びつき」「団らん」「仲良し」といった温かな花言葉も使われるようになりました。

また、花の色ごとに、青は「辛抱強い愛情」、白は「寛容」、赤やピンクは「強い愛情」、緑は「ひたむきな愛」と、贈り物にもふさわしい花言葉がそろっています。

■Q2. 紫陽花がお寺に多く植えられているのはなぜですか?
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A.かつて梅雨時に流行り病で亡くなった方を弔(とむら)うため、お寺の境内に植えられたのが始まりとされています。
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医療が発達していなかった時代、梅雨の季節は気圧や気温の変化で体調を崩しやすく、流行り病で命を落とす人も少なくありませんでした。そうした人々への弔いの気持ちを込めて、ちょうど梅雨に咲く紫陽花を手向けるように境内に植えたのです。
流行り病があった地域のお寺ほど、紫陽花が多く植えられたと言われています。

また、紫陽花は挿し木で容易に増やせて栽培しやすく、境内の湿った半日陰の環境にも適していました。何より雨に濡れて咲く姿が古寺の風情に映えることから、全国の多くのお寺で植え続けられるようになりました。今では「紫陽花寺」と呼ばれる名所も各地にあり、梅雨時の観光スポットとして人気です。

つまり、お寺に紫陽花があるのは「不吉だから」ではなく、人を悼み、訪れる人の心を和ませるのにふさわしい花だったから。そう知ると、印象がずいぶん変わるのではないでしょうか。

■Q3. 紫陽花は「お守り」になるとも聞きますが、本当ですか?
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A.本当です。紫陽花は古くから縁起のよい「お守り」として大切にされてきました。
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6月の6のつく日に「白い紙で包んで水引を結んだ紫陽花を逆さまに吊るしてお守りにする」という習わしが各地に伝わっています。紫陽花の花姿が、商売繁盛祈願に吊るす蜂の巣に似ていること、また浅く広く根を張る性質が「寝(根)付かず」健康に通じることから、玄関に吊るせば厄除けになってお金が貯まる、部屋に吊るせばお金に困らない、トイレに吊るすと婦人病にかからない……など、さまざまなご利益が言い伝えられてきました。

小花がぎゅっと密集して咲くことから「人やお金が集まる花」とされる側面もあり、紫陽花は怖い花どころか、暮らしを守ってくれるありがたい花なのです。

■日本の紫陽花は青紫、欧州は赤系が多い
なお、土壌が酸性なら青、アルカリ性なら赤、中間なら紫と、色が土に左右されるのも紫陽花の面白さ。
火山地帯で雨の多い日本の土壌は弱酸性なので青紫が主流ですが、石灰質でアルカリ性に傾きやすい欧州では赤系が多く咲きます。美しい青紫の紫陽花は、日本の風土だからこそ楽しめる風景なのですね。

「怖い」と言われる一面も、お守りやお寺の花として大切にされてきた一面も、どちらも紫陽花の魅力。今年の梅雨は、そんな物語を思い浮かべながら、雨に濡れる紫陽花を眺めてみてはいかがでしょうか。
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